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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

五徳について #2 (No.138)

五徳=福寿禄官印は五性=木火土金水に対応するので、その順番が増幅を表すのは理屈に合っている。五性では木が火源となり、燃えた後は灰(土)になり、土が固まって岩となり、岩から水が湧き出し、水が樹木を育てる、という循環が基本だ。これを相生関係と呼ぶことは以前述べた。
そしてこれに対して相剋と呼ばれる反発する対立関係があり、木火土金水のひとつ飛びの相手を指す。樹木の根が土を掘り崩し、土が水を濁らせ、水が火を消し、火が金属を溶かし、斧(金属)が樹木を伐採するという具合だ。これを五徳に当てはめると、幸福は財と反比例し、財は知性と反比例し、知性は健康を損ね、長寿(健康)は名誉を下げ、名声は幸福を阻む、ということに。これだとちょっとわかりにくいが、我々鑑定師は以下のように現実の現象に当てはめる。
例えば手っ取り早く幸福感に浸りたかったら、ショッピングをすればよい。欲しかった物が手に入ると人は満足感を得ることができるが、買ったからには財布の中身は減少している。財が減って幸福が増えたのである。そして財運が好調で余剰があると、人間は節約をしなくなる。する必要がないからだ。財運が傾いて家計が厳しくなると、10円でも安い買い物をしようと店を比較したり、セールのタイミングを計ったりして頭を使うようになる。財が減ると代わりに知恵が活躍するのである。しかし知恵を使いすぎると健康を損ねる(笑)。本当だ。笑い話で済んでいる程度ならよいが、鑑定師の考える病は身体的なものだけでなく、精神病も含まれる。頭を使って始終悩んでいる人は、体より先に精神を病むのである。健康と名誉についての関係は更にシビアで、冷酷なようだが、戦争などの犠牲者を見よ。早死にすると名声が上がる。自殺したがる人というのは、自分の名誉を上げるために寿命を引きかえにしていると、算命学では考えている。そして死なずに名声が上がるとその名を求めて顔も知らない人々が殺到し、注目し、芸能人のように常に人目にさらされてプライバシーや自由な振る舞いのない生活になるため、私生活の幸福が阻害される。このように五徳の相剋関係は循環するのである。
日本経済は長らくデフレ不況だが、財布の薄い庶民は幸福を得ようにも金がなくてショッピングもできず、悶々としている。しかし反対側を見れば知恵を磨くチャンスなのである。それは何も財産を増やす目的ばかりではなく、金銭に価値を見出さない世界へ目を向ける好機を意味している。算命学では知性の分野を学問だけでなく芸術や文芸、思想も含めているので、長期の不況を経験した日本は、不況脱却の前に精神活動における進歩を遂げるかもしれない。

先日、どこかの名のあるらしい芸術家が、現在の芸術は金融派生商品に成り下がってしまったと嘆いていた。値段のつかない芸術は価値がないという通念が長らくまかり通った世の中だというのだ。この芸術家は既に成功して生活に困る身分ではないから、売れそうになくても自由に作りたいものを作ってよいという幸福な立場であるが、多くのアーティストは食っていけないので、本来の創造意欲を抹殺して売値や話題性にこだわった歪んだ芸術を生み出して、それが普通だと思う社会になったというのだ。なるほど。私は絵画や造形芸術はよく判らないが、本屋にあれだけ膨大な本が並んでいても自分に必要な本はいくらもないと直感しているし(何せ欲しい本は絶版ばかりだ)、ポップスは全く聴かないし、クラシックも、以前モスクワでコンサートに通っていたとき、アメリカのピアニストがラフマニノフのピアノ協奏曲(確か4番)を弾いて、弾き終わった直後にガッツポーズをしたのを見て幻滅した。そういう心構えで奏でた演奏など聴きたくなかったのだ。
芸術論については、それこそロシアの十八番だ。もとよりあの国から芸術をとったら一体何が残るのか?ロシアの20世紀初頭の芸術運動についてはさまざまな研究書が出ているから、興味があれば読んでみて下さい。当時のロシアでは芸術が行きつくところまで行きかけて、結局革命でコッパ微塵になったというのが大方の評価です。
by hikada789 | 2011-11-05 00:18 | 算命学の仕組 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人