人気ブログランキング |
ブログトップ

土星の裏側

doseiura.exblog.jp

宇宙人と呼ばれた人達の診療所

本当の音楽って (No.307)

宇宙人の旧い友人が拙著『メタフォーラ・ファンタジア』の購読料をなんと「おやつ代付き」で払ってくれた!早速ディスカウント菓子屋に赴き、ぬれ煎餅を買う宇宙人。友よ、おいしいです、この浸みた醤油味が。ああ贅沢しちゃった。というわけで、前回末尾で「本当の音楽」について挙げた、拙著に書かれた考察について少し論じてみようと思う。

ロシア語でナスタヤッシーという形容詞は「本当の、本物の」という意味なので、作中人物がロシア語で話しているつもりの和訳としては「本当の」でも「本物の」でもどちらでもOKです。要は「偽物でない」ということ。主人公は「本当の音楽」とやらを探して物語の舞台であるブハラに長滞在するのだが、「巷の音楽は不快に聴こえるので、これらは音楽ではないと思う」というようなことを言っております。つまりこれは著者の本音であります。みんなどうしてあんな音楽を聴きたがり喜ぶのかさっぱりわかりません。テレビCMに出てくるのさえ聴きたくないばかりに我が家はCMはミュートしているし、歌番組もまず見ない。歌手は演歌以外は、謡曲を習っている宇宙人よりぺらい声の上にキンキンした高音ばかりで聴き苦しく、伴奏は電子音とスピーカーでがなり立てるし、稚拙な歌詞はなんとか語呂だけ合わせてごまかそうと「だね」とか「だよ」とか小学生レベルの語尾を多用するので、全体的に子供の駄々こねにしか聴こえないのである。(宇宙人、今日は随分くさすな。最近のコメント騒動で久しぶりに文章による粉砕を敢行して気が立っているのだな。宇宙人は宿命の月干が庚(=刀剣)なので、こういう人は言語能力に刃物が仕込まれているという例なのでした。ご用心。)
現代音楽がそんななので必然的に伝統音楽に本来の音楽性を求めざるを得ず、宇宙人が謡曲を学ぶように主人公はペルシャのラディーフを実践し、その橋渡しにロシアのクラシック音楽を登場させて話を見えやすくしているのですが、読み手がこちらの思惑通りキャッチできたかは小説の出来に係わるので何とも言えぬ。結局のところ、主人公は「本当の音楽」を見つけられたかどうか不明なまま終わるのだが(話が別の展開を見せたため)、物語の過程でいくつか音楽不思議話が挙げられてます。

まず主人公の師匠が性的興奮を呼び起こす危険な音楽を奏でるシーンがありますが、これはペルシャのお隣、インドに似たような話があり、それと同根であることを醸しております。また別のシーンでは音楽による病人慰撫の話が出てきます。これもどこかの国の逸話の引用ですが、最近の医療では音楽がガン治療に有効だと科学的に証明されているそうだから、何も昔話に限った話でもなさそうだ。
その他にも現代では失ったらしい音楽の効用と威力について、考察を含めいろいろ書き連ねております。こうした内容なので今どきのポップスに満足している読者は反感を覚えるだろうと、「万人向けでない」と謙虚な宣伝しかできない作品なのです。かくいう私も子供の頃は歌謡曲を聴いたり歌ったりしていたのだが、最近たまたま中森明菜のヒット曲をメドレーにした昔の録画を見たところ、当時のリアルタイムの自分は彼女の歌唱力はその他のアイドルと一線を画す力量だと高く評価していたのに、今聴くとやっぱりぺらいのに驚いたのだ。録音の音質が悪かったのだろうか。それとも私の耳が歳をとったから?そういうあれやこれやの考察を延々と書き連ねてみたかったが、枚数制限もあり、本筋からあまりに離れる話は載せないことにして、あぶれた部分をこうして土星裏で披露しているというわけなのでした。

ちなみにこの主人公の師匠、昔知り合ったイラン人男性をモデルにしており、それはそれは男前なのだが、あの国の男のがっかりなところはその嫉妬深さにあって、自分の彼女でもないのに知合いの女性が(既婚であっても)他の男とおしゃべりするのが気に食わないという態度を露わにして憚らない国民性なのだ。男性に限らず、あの地域の人々はやたらと名誉を気にします。映画なんかでもよく「侮辱です。撤回して下さい」というセリフが見られるが、人間の誠実さを重んじる反面、それを疑われるのが余程イヤなのだ。アフガンの部族抗争がいつまでたってもなくならないのは、この名誉棄損の応酬が抗争をエンドレスにしているからではなかろうか。ともあれそうした国民性を反映させて、この師匠も日本人が見れば失笑するような嫉妬深さを表現させられているのでした。
なお彼の猥雑な音楽と性格については、小説が投稿目的になったところで大幅にカットされ今の状態に落ち着いた経緯があります。急いで消した「痕跡」があちこちに残っているので、ヒマな方は探して、あれこれ妄想して楽しんで下さい。なに、どう妄想したところで宇宙人のそれには及ばないよ。
by hikada789 | 2012-10-30 20:54 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)