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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

生物学の観点から (No.392)

算命学余話をご購読の皆さん、誠にありがとうございます。お蔭さまで宇宙人のガマグチは50円玉と10円玉でずっしり重くなりました。塵も積もれば山となる。こたびのGWの山ごもり&生存費用に当てさせて頂きます。予告した通りGW中は鑑定を休業しますので、依頼をお考えの方は連休明けまでお待ち下さい。GWといえば渋谷シアターイメージフォーラムでフェアが開催され、ロシアのバラバーノフ監督作品を上映するそうです。宇宙人は残念ながら見られませんが、どなたか興味あれば鑑賞して後日感想でもお聞かせ下さい。

No.389辺りから続けて触れている「この世に少数ながら存在する例外や矛盾」の扱いについて、生物学の観点から傍証を語ってくれる図書を紹介します。長沼毅『世界をやりなおしても生命は生まれるか?』。著者は宇宙飛行士の試験に失敗して代わりにというわけではないが深海生物の研究者となった知の冒険者で、この本は10人の高校生を集めて行った生物学セッションを文字に起こしたもの。この高校生たちがまた鋭いツッコミをする精鋭で、こんな高校生が日本にいるならゆとり教育もまんざらではなかったように思われる。

タイトルのテーマも大変興味深く論じられているが、宇宙人が注目したいくつかの焦点の一つは、DNAやRNAといった情報分子が情報の複製をする時、「できるだけ正確なコピー」をしている、つまり完璧なコピーではなく「たまにエラー」を起こすが、それこそが進化のきっかけになる、というところだ。このエラーがなければ生物は完璧に均一化してしまい、天敵が現れたり気候変動があったりすると環境の激変に耐えきれず全滅してしまうが、エラーを起こしてちょっと別の生物=突然変異になると、その天敵のエサにならずに済んだり新しい環境に適応できたりして生存チャンスが増える。しかし平時なら突然変異は従来の環境に対する適応度が非変異種より劣るので、発生確率的にも生存競争的にも少数派にならざるを得ない。

ほらほら、何だか天中殺理論や霊星論のようになってきましたよ。この突然変異は明らかに異端でありながら、同種の存続の鍵を握っている。普段は弱々しくて役に立たないように見えるが、いざという時に究極的な(生存の)力を発揮するのである。
そして長沼氏はこうも続けている。「しかし突然変異が生じた後にやってくる自然淘汰は、変異体の増える過程つまり進化を抑制するという説がある。」つまり変異体はあくまで少数派であることを運命付けられているのが、生物学的に証明されつつあるというわけだ。算命学は統計学に近いとはいえあくまで人間を相手にして組み立てた理論なので、人類が変異を起こして次世代へ進化する過程までは統計がおっつかない。あるのは理論から組み上げた仮定だけなのだが、二千年以上前の机上の理論が現代の生物学の実証から得た予測と一致しているのが興味深い。古代の中国人は実によく世界が見えていた。今は見る影もないのが残念です。

この説を突きつめると、多数派がこの世の春を謳歌している間に少数派の変異種が生まれ、迫害されながら(?)生きているが、時代が変わって環境が一変すると多数派はバタバタと倒れ、変異種だけが生き残る。変異種は新しい環境に適応し、やがて増殖に成功して大発生し地上を席巻するが、その間にまた新たな変異種が発生し、やがて下剋上が繰り返される。運命の輪はグルグルと回り続け、この著書の結論では「世界は最終的に差異のない平らなものになる」という。高校生にも理解できるところから論じるとても判りやすい、面白い本です。お勧めです。
by hikada789 | 2013-04-25 21:19 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人