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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

資本論ルネッサンス (No.585)

既にお掃除用EMを飲んでしまっている宇宙人、EMと無添加石けんの快適ライフのお蔭で暑い夏を乗り切れそうな錯覚に囚われつつ、今日はタイムリーな話題があるので石けんの話はまた次回へ送ります。本日は佐藤優の『いま生きる「資本論」』の発売日で、これは佐藤氏が現在精力的に行っている講演会のうち資本論を採り上げた回の内容を文字にしたものだそうです。佐藤氏の著書は今では大きめの本屋に行くと池上彰の本と並んで平積みされているほどヒットを飛ばしておりますが、己の正義を懸けた例の訴訟に掛かった費用は二千万だったというし(しかも敗訴)、世直しを希求する彼のコアな思想が込められたこの種の本はアベノミクスが信用できない国民の溜飲を下げてくれるものと思われるので、他人ではありますが土星裏にて宣伝させて頂きます。私も珍しく図書館ではなく購入しようかなと思います。
とはいえ発売前なので中身は読んでおりませんが、新潮社の中瀬ゆかりがTOKYO MXのゆるい番組で絶賛していたから、講演形式でもあるし読みやすいと思います。想像するにNo.578で紹介した対談本『はじめてのマルクス』の資本論の部分に近いのではと思うのですが、対談相手の鎌倉教授がこんなことを言ってました。高校生を相手に株式の仕組を説明し、株で誰かが儲けようとも結果的に国の富は増えるかというと「増えない」ことは誰にでも理解できるそうです。それほど簡単な仕組だというのに人々は目先の利益に囚われて株に走ってしまう。株はパイの総量を増やす作業ではないというのに。だから教育者の立場として鎌倉教授は学校教育での金融授業導入に反対なのだそうです。社会主義思想を突き詰めた人の意見ですね。

株といえばホリエモンが対極的且つ平等主義なことを言ってます。『新・資本論~僕はお金の正体がわかった』は彼の刑が確定する前の語り本ですが、彼の意見によれば株などの金融商品で儲ける秘訣は情報力なので、情報をより多く持って駆使できる人間が勝つ仕組なのであり、負けるのは情報が一部に寡占されて届かない人たちだという。つまり情報格差が問題なのであり、彼はこれを打破しようと500円からできる投資(株式の100分割)を広めて資本の少ない人でも参加できるようにし、そこで負けた人たちがどうして負けたのか、根本原因としての情報格差を世に知らしめて株の世界に情報の平等をもたらそうとした。しかし結果は株などよく知らない善良な人々を惑わしたと非難され、起訴されたとのことである。
これは彼なりの平等主義ですね。鎌倉教授のように実体としての富が増えるかどうかというのとはフィールドの違う議論ですが、ホリエモンも単に頭のいい奴だけが勝ち組になればいいという実力主義ではなく、貧乏だったり学歴がなかったりする人にも富を得るチャンスを与えるべく、情報を既存の金持ちだけでガメてはいけないというある意味弱者の味方を思想として実行していたわけです。努力が報われる世の中というのはなかなか構築が難しいですが、努力したい人にはその道具としての情報を平等に与える世の中たるべしというのは、これからの教育事情にも関与してくる話です。

佐藤優も語っておりましたが、人口も増えず所得も伸びない今日の社会では高等教育を受ける機会が徐々に狭まっていき、結果として高所得者の子供しか大学や大学院に進めなくなる。我々の世代が受けたような高等教育をわが子に受けさせることができなくなる時代がすぐそこに迫っているという。つまり経済格差による教育格差が広がっていく。知性の不平等ともいうべきもので、知力を磨く機会が寡占されるという意味ではホリエモンの情報格差に対する非難と重なるものがあります。
奇しくも「資本論」をキーワードに両者が遭遇しました。佐藤氏とホリエモンは前科者の誼で交友があるそうですが、社会主義と資本主義という真逆の主張のようでいて実は非常に近いことを云っているようです。
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by hikada789 | 2014-07-31 09:46 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)