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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

舞台『古事記』上演案内 (No.617)

先日ムネオとマサルのトークショー(=東京大地塾のこと)を見に行ったら、元駐日ロシア大使のパノフ氏がゲスト出演し、流暢な日本語で40分くらい講演をしてくれた。この無料トークショーのためにわざわざ来日したわけではないが、来日理由の1つはロシアにはない古稀のお祝いを日本でやってあげようというロシア大使館からの招待に応じたものだという。親日家である。そして職場の後輩に好かれる好人物である。そうでなければ人間評価の激辛な佐藤優が敬意を払って呼びはしないのである。『外務省ハレンチ物語』をはじめ、多くの著書で外務官僚の堕落ぶりを筆鋒鋭く暴露し続けている佐藤氏ではあるが、逆に人間性や能力を高く評価している人物に対する称賛も惜しまない。パノフ氏はそんな人物の一人である。

宇宙人はその昔、旧ソ連の某国に住んでいた折、当時その国が独立したばかりだったためまだ開設間もない日本大使館の、代理大使に大使館事務職を打診されたことがある。給料は日本並に出すから「日本の常識で」大使館内の事務を切り盛りしてくれというのだ。私は自分の仕事が既にあるのでと断ったが、本音はその代理大使に同情できなかったというのが当たっている。
その大使館は事務員に現地の若い女性を雇っていたが、旧ソ連には珍しい英語のできる人材で(仏語や独語の方が当時はポピュラーだった)、英語の話せるソ連人というのはエリート意識が強くてプライドが高い。そんな女性に日本の横柄な男がアレしろコレしろと命じるのだから、本人は反発して言われたことしか仕事をしないし、雑用に至ってははっきり拒絶する。私もその国の国民性の大して根拠のない高慢さに辟易してすぐ出国したクチなので、代理大使に同情する余地はあったのだが、それ以前に代理大使の態度もおかしかった。

有り体に言えば佐藤優氏が繰り返し指摘している低俗なエリート意識がオーラとなって滲み出ており、その俗物ぶりから、いかに根拠の薄いプライドに凝り固まったソ連人といえどもインテリであるからにはこんな男に媚び売るような真似はすまいと知れるのであった。相手が優れた人格者であったなら、外国人であろうと敬意を以て接するのがソ連人の美徳でもあったのだ。その代理大使は現地スタッフに人格を正しく見破られて見くびられたのが私には解っていたので、依頼を断ったのだった。
(ちなみにそんな日本男児の配偶者というのも実に傑作でね、当地での夫の低い評判を挽回しようと正月に大使館内で立食会を開いて、なるべく大勢呼んで勢力を誇示しようと私などのいらない一般住民も招待されたのだけれど、当時は公衆トイレなど汚くてとても入れたものではなかったくらい衛生観念の低かった旧ソ連では、汚れてもいい格好でしか出歩かないのが通例というか安全であったから、そんないつもの装いでぱあてぃに趣いたら、「この礼装もできない下賤め」という目つきで睨まれてしまったよ。実にベストカップルな夫妻であったので、このエピソードは方々で楽しく言いふらしたものだが、その後十数年経って佐藤氏が大使級人材への猛バッシングを始めたので、若き日の自分の目は確かであったと益々自信を深めたのであった。)

宇宙人の実体験は残念な事実として、大使という肩書きの持ち主全てが人格破綻しているわけでは勿論ない。パノフ氏は佐藤氏も称えるように古き良き時代の知識人であり、駐日大使という立場を単なる出世の踏み石ではなく国の将来に役立てようと研究に当て、退官後は日本の文化や精神構造を考察した本を書いた。佐藤氏曰く、「ロシアの若い外務官僚は日本に来る時はこの本一冊を読むだけで日本の概観を知ることが出来る。羨ましい限りだ。日本にも大使経験者の著作は出版されているが、ほとんどが自分の出世の自慢話で読む価値がない」。
どの人の著書が読む価値がないのかはネットでトークショーを聞くと判るので、お確かめ下さい。この9月の回のトークでは、パノフ氏によるウクライナ紛争の実態話が聞けるほか、プーチンの来日が取りやめではなく延期になった背景など、新聞テレビが報じない事実が盛りだくさん。何よりパノフ氏の淡々とした語り口の日本語を聞いていると、そこに出世欲や虚栄心などの不純物が見えず(もう古稀だしね)、純粋な叡智が綴られているように思われる。そうした古き良きロシアの叡智が日本の演劇を演出したりしているので、以前にもちらっと紹介しましたが、舞台『古事記 天と地といのちの架け橋』の上演スケジュールはこちらです。

-----東京ノーヴイ・シアター公演 『古事記 天と地といのちの架け橋』-----
◆場所:シアターΧ(カイ) (JR両国駅より徒歩5分)
◆日時:2014年10月7日(火)~10日(金)19時開演、11日(土)~13日(月)15時開演。
◆入場券:当日5,000円、前売4,500円、カンフェティ会員3,800円
(※この団体はNPO法人を目指して寄付を募ってきたが、どうやら規定量を集められなかったらしく、チケット代が従来の1,000円から大幅に上がってしまった。残念だが、クオリティは高いのでこれでもまだ安いくらいです。ロシア人演出家もきっとお金に頓着しない人なのでしょう。金儲けや売名の香りのしない舞台作品を是非ご堪能下さい。)
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by hikada789 | 2014-10-07 16:00 | ロシアの衝撃 | Comments(0)