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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

算命学余話 #U107 (No.796)

ニコライ・リーリンの顔が怖すぎる件。前回余話#U106冒頭で取り上げたロシア系イタリア語作家ニコライ・リーリン(このペンネームはロシア語発音に倣ってリーリンと表記します)のプロフィールを検索したら、刑務所で撮られるような凶悪な顔写真が映し出されて仰天した。映画化された自伝小説『シベリアの掟』は彼の少年時代を描いた作品だったため、やんちゃとはいえ健康な未成年の荒削りな正義感の描写からなんとなく丸い風貌を想像していたのだが、とんでもない。成人した本人の顔はハリウッド映画でやられ役に使われるような黒ヒゲに覆われた全面極悪人顔で、胸の前で組んだ両腕のバッキバキの刺青は指一本一本にまで及ぶ念入りっぷり。いや、彼の刺青は小説を読めば判るように日本のヤクザのそれとは意味が異なり、文化人類学的価値が濃厚なのだが、やはりパッと見は怖い。テロリストやシリアルキラーと紹介されれば多くの人は納得してしまうだろう。
とはいえ写真は他にも何枚も出て来て、人気作家としてカメラを意識したにこやかな表情もある。ハンマー投げの室伏広治に似たタイプといえば想像頂けるだろうか。室伏はベラルーシ人とのハーフだから人種的には当たらずとも遠からずである。まあ興味の湧いた方は検索してご笑覧下さい。

さて今回の余話のテーマは、このニコライ・リーリン氏の命式についてです。『シベリアの掟』の訳者あとがきに記された彼の半生は、われわれ一般人にとってはやはり極限的なものであり、その成育環境が明らかな裏社会であったことから、前回余話で該当条件を提示した忌神帝王に合致するかどうかを見てみたいと思います。
忌神帝王に限らず、入格(局方や格法のような型にはまること)するかどうかは、該当条件に100%合致するということ以外に、8割程度は合致するといった「準じる」入格も考慮しなければならないことは、以前の余話で述べました。なぜなら宿命は後天運の影響を受けるため、宿命で入格していたものが時期によっては一時的にはずれたり、入格していない命式であってもある後天運の期間だけ入格したりすることがあるからです。
また五行には陰陽がありますから、例えば癸水が守護神の人が、宿命に癸水がない代わりに同じ水性の壬水を守護神として代用することも、場合によってはあり得ます。尤も、同じ水性ではあっても癸水と壬水では陰陽も違えば干合相手も異なりますので、干合相手の有無や後天運によっては大分見方が違ってきます。
そういった機微についてリーリン氏の命式は大変参考になるので、まだ30代半ばと若くこの先人生がどう変わっていくか判らない状態ではありますが、果たして裏社会で生きるのが本物か、作家として名を上げ日の目を見る人生が本物か、忌神帝王の条件を中心に実践鑑定をしてみます。

小説を読んでいない方のために解説しますと、リーリン氏は1980年に旧ソ連のトランスニストリアという現モルドバ領に生まれたロシア人で、モスクワやサンクトを中心とするロシア本土から見れば見捨てられたようなこの辺境地域は、かつてスターリンの時代に強制移住させられたシベリアの住民はじめ、各地の不幸な少数民族が迫害の果てに辿り着いたソ連国内のはきだめであり、同時に無法地帯という自由の土地でもありました。ソ連では当地の住民は犯罪者とその家族と見做されていましたが、彼らの団結力は強く、不安定な東欧諸国と隣接する土地柄を活かして、武器の密輸や貨物強奪といったソ連当局も公にしたくない闇取引で生計を立てていました。つまりそれがスタンダードな社会だったわけです。無論特殊な社会であり、ソ連崩壊後は、この地域は紛争地として国際的に承認されない独立国を自称しています。
リーリン少年は祖父や父親をはじめ周囲の大人たちから立派な犯罪者となるべく薫陶を受けて逞しく育ちますが、ペレストロイカによる経済変革と西側の価値観の流入で従来の社会環境が維持できなくなり、18歳の時には運悪く徴兵に召集され、このような身分の少年は軍隊でも一番きつい所に配属される習慣から、チェチェンの対テロリスト破壊工作に従事させられます。ソ連の軍隊がどれほど恐ろしいことをするかは、現在のシリアで空爆しているロシア軍が民間人の犠牲をものともしない態度からもうかがい知れますが、そのような軍隊での極限生活によりリーリン氏は精神に傷を負い、除隊後は深刻なPTSDに悩まされた上、帰るべき故郷である犯罪社会は西側の文化侵略によって崩壊し(暴力団より資本主義の方が悪辣さにかけては上手だった)、一般のロシア社会からは社会不適合者として見捨てられという八方塞がりに陥ります。
結局、そもそもの故郷であるシベリアへ渡った祖父の元を訪ねることで壊れた精神を立て直すことに成功したリーリン氏は、自分の生きる場所のないロシアを捨てて24歳でイタリアへ移住します。ここまでの経緯が『シベリアの掟』を第一部とする小説三部作に描かれているそうです。処女作『シベリアの掟』の発表は2009年で29歳。この頃の大運の影響も興味深いです。

(この続きは「ブクログのパブー」サイト [http://p.booklog.jp/] に公開しました。副題は「不完全を完全に近付ける」です。「算命学余話 #U107」で検索の上、登録&無添加味噌1パック分の料金をお願い致します。登録のみは無料です。)
by hikada789 | 2016-01-18 17:08 | 算命学の仕組 | Comments(1)
Commented by hikada789 at 2017-01-31 18:03
印字ミスが見つかり「旺気刑」を「生貴刑」に書き直して再アップしました。ご購読の方は差し替え下さい。

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