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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

牛肉からあっちこっち (No.802)

前回スピンオフ。畜産業に恨みがあるわけではない宇宙人が牛肉を筆頭とする家畜肉を健康に対する脅威と見做し始めたのは、ジャーナリスト船瀬俊介氏の著書による影響であるので、理屈を知りたい方はお手数ですがそちらをお読み下さい。船瀬氏は主張の近い内海聡医師としばしば共同で活動を行なっているが、内海医師と完全に意見が一致しているわけではないことは、双方の著書を読めばすぐに判る。
肉食についての見解はその好例で、船瀬氏は太古から肉食である肉食獣とそうでない人類とでは消化機能に差があり、肉食獣に比べて人類の肉の消化速度が遅いことによる腸内における食肉の腐敗に着目し、肉の消化そのものが人間の体に合っていないから老化を早めたくないのなら肉食を辞めるべし、という立場である。

一方の内海医師は自身が肉好きであることから肉食を完全否定することはせず、野生獣と家畜の差異に着目する。今日の多くの家畜が「密飼い」という運動のできない過密小屋で飼育されており、病気で死なないよう抗生物質漬けにされ、安価な米国産の遺伝子組み換え飼料を食わされて育つことから、そもそもストレスによる精神障害や生殖異常、メタボを患っており、そんな家畜の肉を食う人間は抗生物質の効かない体になり、繁殖力が低下し、メタボや精神異常も引き継いでしまうので、どうせ肉を食うなら健康に生きてきた野生肉にしておけ、という立場である。同じ観点から養殖魚も否定し(エサが問題なのだ)、放射能を含む有害物質の蓄積濃度を考えれば、天然であってもマグロなどの大型魚の方が小型魚より危険であると警告する。マグロも霜降り肉も美味で高価であるが、今日の社会ではこれら高価な食材ほど体に害があるというわけだ。
日本人は霜降り肉が好きだが、内海医師によれば、霜降りの牛はメタボになるよう不健康なエサを与えられるため歩けなかったり目が見えなくなったりしているが、肉の等級は生きている牛ではなく食肉になった状態の牛を見て決まるので、生前の牛が健康であったかどうかは考慮されないという。いいんですか皆さん、歩行困難で目の見えなくなったヨイヨイ牛に大枚をはたいて。宇宙人はヤだけど。

そういう意味では、国土が広く平坦で、大規模な牧場経営で生産を伸ばしているオージーの牛は、戸外で牧草を食べながら適度に歩き回っているから健康であり、その脂肪の少ない赤身肉は日本人は高級とは見做さないけれども、健康を考えるなら断然こちらがいいという。偶然ではあるが、つい最近ある経済番組がニュージー牧場に日本企業が進出しているというニュースを報じていた。広い空間でのびのび育った当地の健康な牛は大いに結構だが、赤身より霜降りを好む日本人の需要に応えるべく、日本企業が牧草に加えてわざわざ脂肪の多いおやつを余分に食わせ、適度なメタボ牛になるよう操作しているという。このニュースは日本人のニーズに応えようとする日本企業の工夫を称える内容だったが、私は内海医師の見解を読んだばかりだったので青ざめてしまったよ。

前回の記事でアングロ=サクソン系の思考から出た発想をこき下ろしたばかりだが、こと牛肉に関しては日本人の感覚もトチ狂っているように思われる。いや、きっと牛を食うこと自体が間違っているのだ、というのが宇宙人の見解である。牛や豚を育てるためには穀物を大量に食わせなければならないことを考えれば、人間が穀物をそのまま食った方がずっと量が少なくて済む、という観点からも宇宙人は船瀬氏の肉断ち論を支持しているのだが、それはつまり反捕鯨団体の詭弁に使われているベジタリアンということだろうか。なんかヤだな、奴らと同じなのは。でも宇宙人が肉をやめたのは可哀相だとか知能が高いからなどといった子供じみた好悪の判断基準からではないぞ。健康が気になるお年頃だからだぞ。青魚は従来どおり今もおいしく食しているのだ。今年のサンマの不漁が嘆かわしいのだ。

内海医師の本は以前、精神医療にツッコミを入れる『精神科は今日もやりたい放題』を紹介したが、上述のような食事に関する話は『医者が教えるあなたを殺す食事生かす食事』に詳しく書かれているのでお勧めします。食肉だけでなく、糖分の危険性、つまり白い砂糖以外の自然糖にも害があることや、有機肥料の落とし穴、つまり糞尿を排出してくれる家畜がそもそも遺伝子組み換え飼料で育っていれば有機肥料だって安全とはいえないとか、冷蔵庫に保管した野菜は細胞の震動が1日で止まってしまい、常温保存の野菜に比べて9倍も早く死んでいるとか、電子レンジで加熱した野菜は栄養分が劇的に低下するので、炎による加熱(煮る、蒸すがベスト)を推奨するとか、「そうだったのか」な情報が列挙されております。
これだけ列挙しておきながら、内海医師は自分はそれほど神経質にこれら害毒を拒絶してはいないという。気にしすぎてストレスを感じたらそれも健康に悪いからだ。だから自分が納得できる落とし処を見つけること、全ての社会毒から無縁であることは不可能なので「なるべく避ける」程度で留めること、重要なのは自分がどういうものを食してるのか知った上で食べること、だそうです。厳格さを求めない有難い提言ですね。わが家は電子レンジはないからいいけど、米は炊飯器をやめて土鍋で炊こうかな。最近寒い日が続いているので野菜を常温保存してきたが、春になったらどうしよう。あれこれ考えるのだ。
by hikada789 | 2016-02-02 19:01 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人