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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

名言こぼれ食い (No.805)

江戸の狂歌師、大田蜀山人の名句。
「世の中に 人の来るこそ うるさけれ とはいふものの お前ではなし」

年を追う毎に偏屈さに磨きのかかる宇宙人は友達が少ないのであるが、そしてそれは全く苦にならないのであるが、わが選りすぐりの友人らとたまの会食などで楽しく過ごすとき、ああこの名句を言ってあげたらわが心中の謝意が伝わるであろうと思うのだ。会話の端々に当世人批判が滲み出る、いや噴出さえする宇宙人は、目の前に座っている友人を批判しているわけではないことが正しく伝わっているだろうかと、少々不安になることがある。そうだ、次回から言ってあげよう。
しかし逆にこちらが「お前のことは大嫌いだ、あっちへ行け」オーラを全身から発散させているというのに全く気付かず摺り寄ってくる鈍い輩もいて、気の短い宇宙人はこういう奴が二度とアホ面を近付けないよう、誰が聞いても聞き違えのない明確な意思を示した語彙を機関銃のように発射して撃退するのであるが、これをすると同席者が凍ってしまうので何か良い手はないものかと思っていた。そうしたら蜀山人の名句をたった2文字替えただけで真逆の意味になる名句を、内田百閒が発明してくれていた。
「世の中に 人の来るこそ うれしけれ とはいふものの お前ではなし」

ちょっと使用方法が違う気がするが、機関銃連射できない場での柔らかな対処法として覚えておこう。
このところ含蓄ある文章を並べた良書に続けて遭遇し、土星裏で紹介したいがとても書ききれないので、その一部の名言だけ少し紹介しましょう。脳ミソの柔軟体操にお使い下さい。
まずは紛争地域で武装解除活動に何度も従事した東京外大教授、伊勢崎賢治氏の『本当の戦争の話をしよう~世界の「対立」を仕切る』より。

「インド独立の父ガンディーは、非暴力による不服従は暴力より圧政者に対して有効だと言っている。だけど、臆病と暴力の二者択一を迫られるとしたら、躊躇なく暴力をとる、とも言っている。つまり非暴力とは、圧政者の暴力にもひるまない精神力の上に成り立つものだと。非暴力主義というのは死を覚悟しなきゃならない状況で威力を発揮するもので、気軽なものじゃない」

宇宙人の当世人批判には、自分の単なる臆病を崇高な非暴力主義にすり替えて悦に入る輩が多いという主張も盛り込まれているので、この名言に万歳三唱なのだ。つぎ。

「僕自身の経験から明確に言えることがあります。「テロリスト」の人権は、考慮されないということです。別の言葉で言うと、人間を、その人権を考えずに殺すには、「テロリスト」と呼べばいいのです」

コメントは不要でしょう。次に山中で仕留めた獲物を食しながら登山する「サバイバル登山」なるスタイルを発明した服部文祥氏の『ツンドラ・サバイバル』から。

「困難や恐怖のなかで自分を失わず、生き続けること。これは生物の基本的な喜びだと私は考えている。「いまのはやばかった」というのは恐怖の残像ではなく、生きる喜びなのである」

死ぬのが怖いのはいま生きている自分を実感できるからである。死を顧みずISの戦闘員に応募する若者たちは、きっと「いま生きている」自分を実感できていないのだ。もちろんそこには生きる喜びもない。くすぶっている日本の若者よ、とりあえず手ぶらで山に入って釣った岩魚で空腹を満たし、生きる喜びの何たるかを知れなのだ。
by hikada789 | 2016-02-09 17:31 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人