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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

動物愛護がインチキ臭く見える訳 (No.807)

一部の地域しか無料視聴できないらしいBSスカパーの骨太番組「ニュースザップ」を当ブログではしばしば取り上げ、そこで紹介された本の読後感想などもアップしてきたが、この番組はたまーにトンチンカンなゲストを呼んでしまう。先週は動物愛護活動家の英国出身の老婦人が出演したが、通常のゲストとは比べものにならぬほどのトンチンカンぶりを披露。日本で捨てられている多くの犬を保護しているのは結構なのだが、その犬舎はなんと床暖房付きだという。賢いMCの神田ちゃんは視聴者の疑問を鋭く読み取って、「寒さに震えている貧しい人や子供もいるなか、犬に床暖房を使うという感覚は我々には違和感がありますが、どうお考えですか」と水を向けたところ、「日本の動物保護は遅れている」の一点張りだった老婦人は聞く耳持たぬといった態度で、「でもこれが私の活動です。英国では(犬舎の)床暖房は当たり前です」と回答した。この人すごく頭ワルイ人? 質問の答えになっていないセリフが、まるで自分の痛い所を突かれた政治家のお決まりのごまかし文句のようだった。自分の正義が何より優先されるべき人なのだな。何十年も人間やっててこの程度なのだな。年はとりたくないものであるな。
番組は通常もっと知見の高い人をゲストに呼ぶから、このご婦人を選んでしまったスタッフは干されたやもしれぬ。たまーにあるなこういうミスが。2015年夏の安保法制の時も、生番組でわざわざデモを中継したのに、その日に呼んだ若手ゲストがいずれも反デモ意見を開陳し、デモを鼓舞したい番組スタッフとゲストのベクトルがまるで噛み合わない妙な空気で番組が締めくくられたのを覚えている。まあこういうリアルな意見対立も自主規制のない当番組の醍醐味ではある。

『ビヨンド・ザ・コーヴ』のこともあるが、もともと西洋文化の欺瞞っぷりが鼻について奴らの主張なり思想に賛同する気がまるで湧かない宇宙人は、No.805でちらっと紹介した服部文祥氏の『ツンドラ・サバイバル』にいたく感銘を受けた。この本は、前半は日本各地の山中における殺傷・解体・食事を含む包括的狩猟体験を連ねたレポ、後半は日本ではなくロシア極東でツンドラ狩猟民と共に過ごした獣肉サバイバル記という二本立てになっている。著者は黒澤明の映画『デルス・ウザーラ』の主人公デルスが憧れの人だというだけあって、念願叶って極東先住民と野営を共にし、その体験から狩猟民族に魅力を感じる所以が何なのかを考察しているのだが、上述の老婦人に鼻白む宇宙人はこの服部氏の見解に激しく頷くものなので、名言をいくつか紹介しよう。果たして現代人の何割がこの主張に耳を傾けることだろうか。

「先住民チュクチ族は、ソ連時代に定住化政策で定住させられていたにもかかわらず、ソ連崩壊後は自らの意志でツンドラのトナカイ放牧生活に戻ったという経歴を持っている。現在は文化保護のために政府から支援を受けて、無限軌道車や発電機を使ってはいるが、その気になればモスクワの助けを借りなくても自給自足で生きていく自信があるようだ」

「カリブーとは野生のトナカイのことであり、家畜となったカリブーがトナカイである。チュクチ語ではカリブーとトナカイでそれぞれ名称があり、更に年齢や雌雄で呼び名が分かれている。カリブーのオスとトナカイのメスの間に生まれた子はレッティアウカウという。しかし逆の組合せの呼び名はない。家畜のオスと野生のメスの間に子供は存在しない。ツンドラの大地では、飼いならされたオスになびく野生のメスはいないのだ」

「(このツンドラ行には現地ロシア人案内人が数名同行しており、うち1名はベジタリアンであるが、チュクチ族のバリバリの狩猟民ミーシャは自分の狩ったカリブーの肉を、自分たち先住民を見下しているロシア人にはやるなと服部氏に警告する。)「ファッキン・グリーンピース・ピープル」と言っていたのでかなり頭にきているようだ。…白人ロシア人の考え方は人間社会と野生とを乖離させていると私は思う。カリブーを愛でることと、カリブーを食べることのどちらが本質的な保護につながるのか。その土地と同化していくことこそが、環境保全の本質だと私は思う。ツンドラではそれは、狩って、食べることだ」

野生動物を狩って食うのは野蛮だという考えは西欧人の発明であり、西欧人に劣等感のあるロシア人はそれを踏襲している場合が多いのだが、『デルス・ウザーラ』の原作を書いたアルセーニエフがロシア人インテリであったように、ロシア人も一様ではない。宇宙人は個人的に西洋かぶれのロシア人が嫌いで、逆に東洋的思考や感覚・価値観で動く種類のロシア人の方がずっと頼りになるし好ましいと考えている。
両者をごっちゃにするとロシア人を理解しづらくなるので読者には分けて考えてほしいのだが、こと狩猟に関しては、狩猟で食べていくということは獲物の根絶が人間の根絶を意味するため、本気で野生動物を保護したいのなら獣を食生活の必需品に組み込んだ方が効果的なのだ。獣肉を沢山食べたければ(狩猟民は必要以上に狩ることはしないが)、獣たちにも大いに栄えてもらわなければならない。そのためには獣のエサである草地が必要で、頭数を増やしたければ草地つまり環境も大いに保全しなければならなくなる。間違っても破壊などはできない。こういう切っても切れない相互関係に人間も組み込まれてしまえば、わざわざ保護のために巨額な予算を割いたり、つまらぬデモで拳を上げたりする必要もなくなる。身動きもできない家畜小屋に牛豚を閉じ込めて、ストレスで病気にならないよう打ち続ける抗生物質を買う必要も、それを食べる人間の免疫システムを狂わせる必要もなくなる。どちらがより効率的で、文明的なのか。我々は文明と称しながらまるで真逆の非文明的行為に明け暮れているのではないか。

それにしても、グリーンピースはチュクチ族にさえファッキンと呼ばれているのだな。狩猟民の目は確かなのだな。数年前にはバレンツ海の油田に不法侵入したグリーンピースのメンバーを、プーチン親分がひっとらえて監獄にぶち込もうとしたことがあった。日本ではオホーツク海で拿捕された日本漁船に対する処置でお馴染みだが、この時のグリーンピースも例によって多額の保釈金と引き換えにようやく解放してもらったのだった。親分のあまりの仕打ちに、グリーンピースは以降ロシアを敵に回す活動を控えている。チュクチ族にはグリーンピースの一味と見られてしまったロシア人だが、やる時はやるよ。日本もこれくらいやらなきゃあ。

最後は、内海聡医師のごもっともな言葉でシメるとしよう。
「そもそもベジタリアン文化を唱えた欧米人こそが、世界で最も人も動物も殺し尽くしてきたのに、彼らが主張する人間として不自然極まりないベジタリアン文化に追従するなど、歴史を何も知らないと言っても過言ではない」(『医者が教えるあなたを殺す食事 生かす食事』)。
今夜のおかずはサバの味噌煮の宇宙人でした。
by hikada789 | 2016-02-14 18:58 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)