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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

恥知らずを排除したい人たち (No.812)

最近、自分から鑑定依頼をしてきたのに結果が気に入らなかったらしい依頼人が礼も言わずに鑑定を終えたので、今日の社会における道徳や礼儀の欠如の広まりに眉を顰める宇宙人。「カネさえ払えば何でも思い通りになる」という間違った価値観がはびこって困るのだ。そもそも有料鑑定案内のページにこの種の宇宙人の苦言をわざわざ明記してあるのに、読まないで依頼してくる人がいるのだな。最後まで読んでから依頼してくれなのだ。

おかげで虫の居所の悪くなった宇宙人であったが、宇宙人以上に世間に対する吠え声の高い内海聡医師の『99%の人に伝えたいこの世界を変える方法』を読み進めて溜飲を下げるとしよう。この本は同氏の『99%の人が知らないこの世界の秘密』の続編というか解決編なので、前編書を読んでいない宇宙人は順番を間違ったが、内海医師の主張したいことはこれまで読んだ著書で判っているから問題なく読める。
この世界の歪みの原因をグローバル巨大企業の陰謀としている点がオカルトっぽく見えて、敬遠されたり批判されたりしているようだが、本人は承知の上でやっているし、どう見ても捨て身の咆哮を上げているので、土星の裏側という遠隔地からメガホンでがなり立てている気弱な宇宙人には、ケンシロウのような勇者に見える。『世界を変える方法』では医療に留まらず社会全体の病悪のとりどりを取り上げているが、私が当ブログで触れた介護や子育ての歪みに加えて、精神障害者や生活保護者という一見かよわい弱者に対してもこんな鉄槌を下している。

――知的障害と精神障害の福祉事業を自分もやっているが、基本的に精神薬をやめたいという意思を持った人を扱っている。自立の意思や薬をやめたいという意思のない人は扱っていない。…私は正義など微塵も主張する気はなく、この狂って腐った世界の中で、自立して生きたいと思っている人しか手伝いはしない。

――往々にして、生活保護を受けている人たちは極めて無計画であり、それでいてカネのことしか考えていない人間であり、生活保護が必要だという言い訳はひたすらするが、社会復帰などさらさら考えていない人間たちばかりである。…そしてまた、生活保護批判に逆ギレする生活保護受給者に限って元気三倍である。彼らは完全なまでに、人権という言葉をはき違えている。彼らには義務を果たす気もなく、責任を負う気もないのに、権利だけは延々と主張する。結局、彼らは自分のしたウンコのケツさえも拭けず、しかも他人に拭いてもらうことが当たり前だと思っており、その拭き方さえも自分の思い通りにならないと逆ギレする。そんな彼らにつけるクスリはなく、これに比べればホームレスの方が余程強く賢いと思うのは私だけだろうか。

ほら、奇しくも「自分の尻は自分で」という前回記事No.811のわが言葉と重なったので、宇宙人はご満悦なのだ。内海氏はかような過激な発言でキチガイ医師との批判を浴びているのだが、その著書をよく読めば判る通り、今の「社会的弱者」の9割はニセモノだということ。残り1割の本当の弱者を守るために、9割のニセモノには自立してもらうか、できないなら死んでくれ、というのが内海氏の医師としての提言だ。ロックですなあ。宇宙人もこれと全く同じ助言を依頼人にしたら、礼も言われず去られてしまったのだよ。内海医師の味方をするのは当然ではないか。(まだ腹の虫が収まらないのだな)

生活保護で思い出したが、3年ほど前だったか経済討論バラエティーに『苦役列車』の西村賢太が呼ばれていた。この人は芥川賞を獲るまでは石川啄木のような労働貧者で、生まれた家族も全く頼れないという経済弱者だったが、討論していた某経済学者が「あなたの老いた母親だって働けなくなれば生活保護を受けるんでしょう?」と挑発したところ、「いや、自分の母はそういう(恥知らずな)ことはしないと言ってますし、実際しないと思います」と、精神文化の旗手たる文士として怒りの表情を見せたのだった。見ず知らずの国民から生活保護というお恵みを受けて生きることを潔しとしない人種がいること、そういう人種こそ生きる価値があるというのに社会は真逆に向かっていることを、よく表したシーンであった。このシーン、よくカットされなかったな。この経済学者は自分が他人の手で尻を拭かれることを恥ずかしいと思わず、しかも誰もがそんな自分と同じ恥知らずだと思って自信満々で発言したのである。こんなのがエリートを気取っている社会なのであるよ。内海医師のロックな咆哮に拡声器も当てたくなるというものだ。

暗澹たる話になったので口直しに文化的なお知らせ。3月2日から6日まで東京国際文芸フェスティバル2016というのが開催される。しかし関連イベントはもうあちこちでやっており、宇宙人もロシア文学関連で東大のシンポジウムを見てきた。沼野充義先生司会の「世界文学村と愉快な仲間たち」なる現代文芸シンポは第五回にして最終回だと聞き、もっと宣伝してくれれば全回聞きにきたのにな、と残念がる宇宙人。でも過去のシンポの内容を含む文学談義は活字化されて、光文社から『世界は文学でできている』という連続講義図書として出版されているという。
光文社といえば最近話題の亀山郁夫訳のドストエフスキー作品が有名だが、くだらない芸人や受刑者の暴露本がよく売れる世の中にあって、ちゃんとした活字文化を守ろうとしている人たちがいるのであるよ。この講義図書は現在第三巻まで出ており、今年中に第五巻まで出す予定だそうだ。対談者は平野啓一郎、リービ英雄、亀山郁夫、加賀乙彦、辻原登、アーサー・ビナード、池澤夏樹、綿矢りさ、川上弘美等々。
フェスの方は有料・無料とさまざまあり、手近な所では新宿の紀伊國屋とか、代官山の蔦屋書店とか、丸ビルホールとかで展示やトークショーなど各種イベントを開催する。詳しくはHPをご覧下さい。
by hikada789 | 2016-02-29 17:25 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人