ブログトップ

土星の裏側

doseiura.exblog.jp

宇宙人と呼ばれた人達の診療所

それを本革と呼べるか (No.915)

最近ガラケーからスマホに乗り換えた友人が、スマホ導入と同時に三千円ほどの合皮スマホケースを購入したところ、使用一カ月でもうボロボロになったという報告をしてくれた。なんだ、三千円もあればしっかりした本革で作ってあげるのに、と提案したら注文につながった。言ってみるものである。しかし三千円も払ってひと月しかもたないとは酷い商品である。もちろん中国製だが合皮とはいえこんなに短い寿命は珍しい。
ふと思い出した。最近は百均市に合皮ではなく本革のパスケースや小銭入れが出始めた。確かに手触りや匂いは牛革であるが、いくら人件費の安い中国製とはいえこんな値段で作れるものなのか。もしかして人権無視して無給労働でもさせているのだろうか。とレザークラフトの先生に洩らしたところ、明確な答えが返ってきた。
業界人の話によれば、ああした安価な中国製品は牛革とは名ばかりで、ハギレやヨゴレで商品にできない牛革を掻き集めては粉末状にまで裁断し、それを圧縮して固めたものをまるでギョウザの皮のようにシート状に伸ばし、それを牛革と称して製品加工に使っているのだそうだ。成分鑑定をすれば牛革と出るが、一度粉砕された粉なので分子はバラバラに分離しており、従って一見して美品であっても使用の負荷に耐えられずにすぐ分解してしまうのだという。パスケースや小銭入れが湿気たクッキーのようにポロポロになるらしい。一体そんな製品を誰が欲しがるのだろう。安いのでつい買ってしまう人がいるから作るのだろうが、そこに商業倫理はない。中国人の発想は徹頭徹尾嘘っぱちであることが、レザーの世界でも明らかとなった。

百円ならまだ許せるかもしれないが、1年程前から有名なネット通販でも本革を謳った中国製バッグやカバンが出回り始めた。値段は九千円ほど。従来の本革カバンが2~3万であることを考えれば確かに安いが、九千円がひと月で粉となって散る危険性を考えると、金をドブに捨てるようなものである。デパートでアパレルに従事していた知人の話では、劣悪なコンテナ輸送で入荷されてくる中国製カバン類は、合皮だろうが本革だろうがデパート店員なら決して買わないという。衛生的に触りたくないのだそうだ。そんな商品を店頭に並べて売ってくれるなと言いたいところだが、買う消費者がいるのだから仕方がない。
皆さん、内部事情を知る専門家たちの意見は聞くものです。きれいな画像に騙されてはいけない。ちゃんと手に取って、縫い目や内側にも職人さんの真心が見て取れるか確認して、愛用品を購入して下さいよ。宇宙人のつたない製品を買えとはいわないから。

東京フォーラムと代々木公園で毎月行われている大江戸骨董市というフリマに行くと、年代物の皿やメダルの他に中古の着物や伝統工芸品も豊富に陳列されている。中古品なので当然日本製である。古びてはいるが作り手の魂が込められているらしく、最初から不良品であったものなどない。しかし驚くほど安価である。着物は平均千円だ。二束三文といっていいだろう。
ああこのような数十年の負荷に耐えた確かな品々が千円足らずで売られ、ひと月ももたない新品の不良品に十倍の値段がつく今日の商品経済は、どうなってしまっているのだろう。地球人の皆さん、本物を探して下さい。宇宙人もついもったいと感じて着物や帯をクラフトの裏地用にと買って救済するのだが、あまりに品質が良すぎて切り刻む気になれぬ。今では500円だった古着の羽織を防寒部屋着として使っているが、なんと柔らかく暖かい布地であろう。ああもったいない。いい買い物をした。
着物以外にも、小物を入れられる抽斗が木製にも拘わらず二千円程度で叩き売られていた。漆の塗りが剥げているのでそのままでは使えないが、さすがは日本製、抽斗は歪みもなくスムーズに出し入れできる。クラフトの先生に伝えたところ、剥げた塗りをヤスリで平らに整えた上から薄い革を張り直せば、立派なレザークラフト品になるという。色革ではつまらないが、タンローに図柄をクラフトすればオリジナルなインテリアに。宇宙人の質素な自宅では菓子の空き箱に小物を入れて整理しているから、これらをひとまとめにできるインテリア抽斗をリメイクしてもいいかも。哀れな本物の日本製品を救済しつつ、今年もモノづくりに励むとしよう。皆さんも何か作ってほしかったら遠慮なくお訊ねを。
[PR]
by hikada789 | 2017-01-05 15:45 | その他 | Comments(0)