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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

言葉の押し付けをはねのける (No.1068)

村田諒太の初防衛戦をテレビ観戦後そのままつけっぱなしにしていたら、報道番組になって引き続き村田の勝利インタビューに突入した。試合が終わったからには例によって画面は見ずに耳だけで聞いたのだが(目と手は別の作業をしている)、村田のインタビューはいつも意表をついていて面白い。何より自分の言葉で語るから賢さが伝わる。宇宙人は賢い人が好きなのだ。
昔のボクサーといえば頭叩かれすぎた人の言葉といった感じの残念なインタビューばかりだったが、最近のボクサーは文法がしっかりして、試合直後でもちゃんと頭を働かせるだけの冷静さがある。村田はその最たるもので、自分が言いたいことだけを言うのでなくちゃんと相手の話も聞いている。だからツッコミもできるし、拒否もできる。そう、拒否していたね、番組司会の「あなたの気持ち判かります」的な言葉の押し付けを。宇宙人、思わずにやけてしまったよ。
No.1064に掲げた平野啓一郎の「言葉を押し付けられる苦しみ」というやつだ。どうして人の心を自分が代弁できると思い込むのだろう。そしてその行為の失礼さに、実際は何も判っていないくせにさも判っているといった素振りをして相手の発言を妨げる行為の失礼さに、なぜ気付かないのだ。まったく「ヘドが出る」。宇宙人がヘドを感じる人間は、この種の頭の弱いタイプである。世間受けしそうな一般論をさも常識人であるかのように披露しつつ、世間の善意を代弁しているつもりになって自己陶酔に浸るタイプだ。そのくせ自分が認める「一般論」から外れた発言が飛び出すと、取り繕うのに必死になる。「そういう発言は困りますよ、段取的に」。インタビューしておきながらその態度こそ失敬ではないか。
村田は試合直後のテンパった体調にも拘わらず、ちゃんとこの思い上がった司会を押しのけて、短い時間に反論して、自分の言葉や感想を述べたのだった。しかも内容は理に適っており、どこかから借りてきたいようなありきたりなお決まりフレーズではなかった。ちゃんとその場で考えて放った言葉だったのだ。思えば彼のボクシング・スタイルがそうであった。長い左腕で相手の頭を押しのけ前進を阻みながら、右のパンチを浴びせるのである。インタビューでこれだから私生活でもそうなのだろう。子供達よ、こういう大人を見倣うのだぞ。借り物の言葉を並べればうまくやっていけると思わぬことだ。この番組の司会のように生放送で恥をかくことになるからな。また自分がこう思うからといって他人様も同意見だと思い込んで物事を進めてはならんぞ。他者を尊重するとは、同意見でなくともちゃんと相手の意見に耳を傾けるということなのだから。

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by hikada789 | 2018-04-16 20:28 | その他 | Comments(0)