宇宙人のリアル『坊ちゃん』(No.1263)
前回No.1262の閲覧者が宇宙人に同情して慰めの言葉を贈ってくれた。まるで『坊ちゃん』だと。ほらほら、『坊ちゃん』と聞いてちゃんと吹き出しましたか。ここで吹くか吹かぬかであなたの読書に係る教養が知れますよ。まあさすがに『エフゲニー・オネーギン』は知らなくてもいいけどさ。
『オネーギン』はロシアの国民的詩人プーシキンの韻文小説で、チャイコフスキーが曲を付けたオペラとしても有名だ。宇宙人もモスクワ滞在時に観に行ったものである。まあストーリーは敗れた恋物語なのでどうってことないのだが、ロシア詩文を理解する者には堪らない韻律の響きがあるという。宇宙人は散文しか読めないのでその醍醐味は判らぬが、日本人にとっての源氏物語や平家物語のようなもので、教養人ほど内容を知悉しているし、有名なフレーズをさらっと会話の中に差しはさんだりできる。宇宙人のロシア語の先生もさらっと出てきた。こういう具合に人の教養というのは些細な所から顔をのぞかせるものなのである。
ちなみに「カンチャーユ」のセリフが出てくるのは、『オネーギン』のヒロインであるタチアナが初めての恋文をしたためるシーンで、あれこれつたない想いを綴ったけれどももうこれで終わりにします、かしこ、という締めくくりに使ったフレーズである。きっと先生にも、宇宙人に多少のロシア文学の教養があることを判ってもらえたと思う。キルギス人の田舎モンねたもちょっとは役に立ったというわけだ。
『オネーギン』はロシアの国民的詩人プーシキンの韻文小説で、チャイコフスキーが曲を付けたオペラとしても有名だ。宇宙人もモスクワ滞在時に観に行ったものである。まあストーリーは敗れた恋物語なのでどうってことないのだが、ロシア詩文を理解する者には堪らない韻律の響きがあるという。宇宙人は散文しか読めないのでその醍醐味は判らぬが、日本人にとっての源氏物語や平家物語のようなもので、教養人ほど内容を知悉しているし、有名なフレーズをさらっと会話の中に差しはさんだりできる。宇宙人のロシア語の先生もさらっと出てきた。こういう具合に人の教養というのは些細な所から顔をのぞかせるものなのである。

キルギスをくさしてばかりで申し訳ないが、彼らの歴史がいかにあやふやかという症例を見つけた。画像は職場の学校の廊下に掲示してあった「キルギス汗国」の勢力版図である。キルギス汗国って、なに。キプチャク汗国とかフビライ汗国とかは知ってるけど。周辺諸国を見ると「唐王朝」とあるから唐代のいずれの時かに存在した国家らしいが、ウィキペディアにさえ該当する国なり勢力なりはない。少なくともこんなに広大な領土としてはない。
既に史書を書き記す習慣のできていた唐王朝が西域辺境事情として当時の様子を記録しているから、多少の情報はあるのだが、まあ中国人も辺境民族に対してはあからさまな侮蔑を込めて書くことが多いし、外国の地名や人名を無理やり漢字に置き換えるから元の発音が辿りにくかったりもする。こればかりは中国人を責めるわけにはいかない。自国の歴史など自分たちで書き残すべきなのだ。そんなわけで、キルギス汗国なるものが本当にこの世にこのサイズで存在したかは非常に疑わしい。はっきり言って誇大解釈としか思われない。

宇宙人は、独自の文字を持って今も使っているという国が好きだし、尊重している。ヨーロッパなんかはローマ字を使い回しているから、本当にローマ字を使う資格のあるのはイタリア人だけだと思っているし、アラビア文字圏でも近代以降ローマ字に乗り換えたトルコなんかはつまらない国だという印象である。独自の文字を持つインドやタイなどの方が、宇宙人的には魅力のある文化なのだ。だからもしキルギスのこの固有文字がせめて近代以前の公私の文書に広く使われていたというのなら、もう少しこの国の文化の評価を上げるのだが。
by hikada789
| 2019-11-30 10:00
| 宇宙人@キルギス
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