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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

現代ロシア文学もいろいろで (No.1291)

ロシア古典文学愛好家であるロシア語の先生にパドスタカンニク用のガラスコップを頂いた宇宙人は、お礼に現代小説を考えた。当地では新刊ほど高価なので先生は現代作家の作品はあまり読まないのだが、数年前に大きな文学賞を獲ったヤーヒナ著『ズライハは目を開ける』を娘さんから借りて読んで、大層感動されていた。先生の感性は信用できるので、宇宙人も本屋に立ち寄った際にこの作品を探してみたら、運よくその場で購入できた。内容は、ソ連時代のタタール人がシベリア送りになってどうやって生き延びたかというサバイバルものなのだが、女流作家が書いているのでこれまでの収容所文学、例えばソルジェニーツィン等と違った視点で描かれており、映像化もされた大河小説である。残念ながらまだ読んではいない。今読んでいる小説の読了が3月予定であるからだ。その上他にもウェイティングの小説が何冊かある。そうだ、どうせ手を付けられないのだから、このうちの一冊を先生に読んでもらおう。プレゼントしてもいいけど、人には好みがあるから押し付けにならぬよう貸すことにして、宇宙人の力量に足る内容だったら次の教科書代わりにしよう。そう思ってミハイル・エリザロフ著『図書館司書』をお貸ししてみた。
結果はなんと大失敗である。ええー? なんでなの。確かにこの作品の裏表紙には「大賞を獲ったがスキャンダルにもなった」と書かれていて、書店員には「あなたにおススメ」と言われた、多分宇宙人好みの、何と言うか正統派でない異端小説だ。でも大きな文学賞を獲っているくらいだから単なる奇抜さだけではないはず。それを知りたくて先生に先に読んでもらったのだが、なんと先生は読了できなかったのだ。気分が悪くなって。先生の弁明によれば、「自分はドストエフスキーを読んでいても気分が悪くなることがある。あまりに人間の醜悪な部分の描写が続くと苦しくなって先へ進めなくなるのだ。ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』も最初はだめだった。しかしドストエフスキーもブルガーコフも、その核心は人間性の深部にあり、単なる醜悪な場面だけで終わる話ではない。しかし『図書館司書』はあまりに醜悪な思想が冒頭に蔓延していて、なんとかここを抜けるまでは我慢しようとしたけれど、結局だめだった。もしかしたら後半はもっと別の世界が描かれているのかもしれないが、自分はこれ以上は読めない」ということだった。わあ先生、すみません、お礼のつもりだったのにとんだご迷惑を。宇宙人もトンチキだなあ。ボドラースキンの『聖愚者ラヴル』を渡しておけばきっと気に入って頂けたのに。というわけで、今度書店で『ラヴル』を見つけたら迷わず買おう。既に和訳を読んでいるので買う予定はなかったが、いっそ先生にプレゼントしてもいいし。『図書館司書』は自力で読むとしよう。
ときに、今読んでいるボドラースキンの初期小説、せっかくだからちゃんと和訳して、パブーに掲載するなりクラウドファンディングで紙の本にするなりしてみようかと思う。著作権の問題をどう解消するかとか、クラウドファンディングの功罪とか、ノウハウをご存知の方がおられたらお知恵を拝借したい。

さて日本で開催されるロシア関連イベントのお知らせです。
(1)『ロシア文学辞典』出版記念シンポジウム
当ブログでもお知らせした本体二万円の大著『ロシア文学辞典』の共同著者による公開シンポジウム。見どころ等を解説してくれるらしい。いいなあ、宇宙人も行きたいよ。2月15日(土)午後3時~6時半。東大本郷キャンパス法文2号館2階1番大教室。入場無料。

(2)コムズが聴ける映画上映会
「キルギス映画の過去と現在」と題するキルギス映画上映会。2月21~22日。アテネフランセ文化センター。映画は有料ですが、22日(金)18時半からの無料シンポジウムでは、宇宙人が練習している民族楽器コムズの生演奏をしてくれる。

(3)ロシア・ユーラシア文化祭「プラーズニク」
港区芝公園4号地で行われる屋外フェス。2月23~24日。中央アジアのダンスなども見られる。

by hikada789 | 2020-02-14 20:40 | ロシアの衝撃 | Comments(0)