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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

宇宙人の暴走、逆走 (No.1307)

コロナウイルス休暇を充実させようと俄かに動き出した宇宙人。同じ田舎町に住むコムズの先生に個人レッスンを頼もうかと思ったが、例の「弾きたい曲」を打診しても返事がないので諦め(キルギス人は旗色が悪くなると連絡を寄越さなくなる習癖がある)、3月21日土曜、スリ被害が多発していて大使館から注意勧告の出ている首都のオシュバザールへ赴く。現地通貨ソムの一回目の下落から一週間が経ち、物価が上がるのではないかと危惧していたが、わが田舎町は全然気にしてない様子で通常営業だし、首都ビシュケクも高級店は検疫を理由に閉店が相次いだが、食料品店などは通常営業。レジの店員が両手にゴム手袋をし始めたくらいでお値段もそのまま。キルギス人曰く、「自分らはドルを持っていないから為替レートが変わっても気にならない」。そうかなあ、後で痛い目見るのでは?

オシュバザールでは安いうちに土産物を買いたかったのだが、広すぎるのとゴチャってるのとで現在地が判らなくなり、諦めて自分用の夏帽子とサンダルを購入する。通常価格でお買い得。気を良くして、コムズその他楽器を売る店舗の開店と同時に店主を直撃する宇宙人。「この曲を弾きたい。楽譜か、これを教えてくれる先生を探したい」と無茶振りする宇宙人。店主も暇なのか(外国人客が激減したから)、宇宙人の差し出すスマホに耳を傾ける。そして抽斗からノートを取り出し、スマホで電話を掛ける。電話の相手に曲を聞かせるべく手招きする店主。電話口にスマホを近付ける宇宙人。この妙な光景が繰り返されること三回目で、早くも当たりくじが。何せ一回目のコムズ弾きは余所の州にお住まいだったから。当たりくじの先生は市内に住み、宇宙人と同じく学校閉鎖の煽りで休暇中とのこと。自宅へ来てくれるならレッスンしてもいいとトントン拍子に話が進み、その足でご自宅を訪問することとなった。
親切な店主はバスの乗り場の地図まで書いてくれた。後日お礼に寄りますと言って別れる宇宙人。バス停に向かう宇宙人。念のため路線バスナビアプリで確認する宇宙人。店主が教えた乗り場が逆方向であることを知る宇宙人。慌てて正しい乗り場に向かう宇宙人。指示された番号のバスがトロリーバスであることに一抹の不安を抱く宇宙人。終点で下車しろと言われたが、アプリの示す場所と違うことが不安な宇宙人。しかし約束通り終点駅で新しい先生S師と対面できた宇宙人。

S師の自宅には例の曲の入った楽譜集があり、目を輝かせる宇宙人。コピーだ、コピーさせてくれ、そして指導してくれ。
「これは音楽院の学生が練習するような難度だよ」
「いいんです、ちゃんと弾けなくても。どうやって弾くのか知りたいのです。もう滞在も四カ月を切りましたし」
S師は指導歴が長く、自分の指導方法に拘りがあるという。四カ月でこの曲が弾けるレベルに達するのが無理でも、最初の三カ月を彼の好む指導に任せ、残りの一カ月で目標の曲に挑戦するという段取りでどうか、と提案をすると、よろしいということで話が決まった。レベルを知りたいからちょっと弾いてみてくれと言われ、小学校で覚えた曲を弾く宇宙人。
「いや、もう結構。判ったよ、ひどいな。君の先生の指導が悪いのだ。私が基礎から直してやろう。誰に習ったの? D先生? 苗字は判らない? もしかして私の知合いかも」
果たして両名は知合いであった。D先生は「楽譜がない」といっていたが、ちゃんとあるじゃん。横のつながり悪いなー。D先生には悪いが、初対面でもうS師の方が有能な先生であることが判ったので、あっさり乗り換える宇宙人。こういうことは能の世界ではやってはならぬ。コムズの世界ではアリなのかな。今度聞いてみよう。
「レッスンは明日からやろう。11時に来てくれ」と言われて承諾する宇宙人。話が早くていいねえ。

翌22日、日曜。大使館はキルギス政府が非常事態宣言を出したとメールしてきた。別の日本人からは交通が止まるとの情報も来た。しかし93年のロシア議会砲撃事件を現地で体験した宇宙人には蚊に食われた程度にしか響かず、構わず出掛ける宇宙人。ほらちゃんとバスだって動いてるじゃん。しかしこれは大きな勘違いであることが後に判明する。
レッスンを終え、帰路にオシュバザールのコムズ店主に挨拶に寄ることにした宇宙人。前日とは打って変わって閉店の店ばかり。通常営業は食料品店だけで、レストラン等もテイクアウトの窓口対応限定が目に付く。果たしてコムズ店も閉店していた。まあお礼参りは後日でもよかろう。野菜だけ買って帰りのバスを待つ宇宙人。来ないなあ。トロリーバスは来るけど、小さいミニバスが来ないなあ。すると隣の奥さんたちが、「今日はトロリーバスだけしか走ってない。ミニバスは駄目みたい」とぼやいている。
バスアプリでトロリーバスを検索する宇宙人。やばいかも。わが田舎町への路線バスはミニバスしかないのに。折しも路上の両替屋は二度目のソム暴落を表示している。ソムが落ちたというよりロシア・ルーブルが落ちたのだ。原油価格も下がっているし、コロナが原因ではないのかも。キルギス経済はロシアに依存しているからこういうことになる。自立って大事だよ、日本の皆さん。

慣れないトロリーバスに飛び乗って、いつものミニバスの始発駅で待つ宇宙人。いつもは他の乗客が列を作っているのに、今日はない。つまり来ないな。まずい。路線バスのハブになっている市場まで歩く宇宙人。バス停ごとにタクシーが客寄せするのを眺める宇宙人。なるほど稼ぎ時だな。市場に着くと折よくいつものミニバスが待っていた。助かった。本数は減っていたが、郊外との往復路線は生きていた。往路はこのミニバスとトロリーバスしか使わなかったから気付かなかったのだ。危ない危ない。徒歩で帰れる距離ではないからな。タクシーは馬鹿馬鹿しいし。この状態はしばらく続くのかな。様子を見よう。
しかし、二日連続で嫌いなミニバスに乗ったのに、宇宙人が元気なのはどうしたわけだ? いつもなら気分を悪くして帰宅後寝込むのに。免疫が急に上がったとも思えぬ。それはね、車も人も少なかったからだよ。まず渋滞しなかったし、乗客も少ないからいつものように100%を超える人数に至らなかった。その上乗客の多くはマスクをしている。衛生に気を配っているわけだ。いいな、これくらいが。コロナいいな。しばらくこれで行ってくれ。まだS師の所に何度か通わねばならぬのだし。このように宇宙人は、人様が向かう方向と逆走すると調子が良くなるのだった。市民らは外出を控えているが、宇宙人はせっかくの快適さを利用してお出掛けに励むのだ。

by hikada789 | 2020-03-22 23:21 | 宇宙人@キルギス | Comments(0)