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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

チェス合宿事件 (No.1332)

コロナ騒動で学校閉鎖が続く日本では、これを機に学校の年度を9月始まりにしようという意見があると聞く。宇宙人は卒業式・入学式の季節に桜が咲いている光景に情緒を感じるし、日本の9月は総じて残暑が厳しく新規に学業を始めるのには適さないし(皆さん、夏休み明けの授業なんてやる気起きなかったでしょ)、そもそも算命学の観点からして春に物事を始めるのが自然に即しているため、9月始業の意見には反対である。佐藤優氏は「諸外国が9月始業だから」日本の大学もこれに合わせるいい機会だと発言していたが、それはどうやら先進国の一部やその旧植民地の事情に過ぎず、米国でさえ州によっては7月始業、豪州は1~2月、シンガポールは1月、タイは5月とまちまちだ。各国は独自の学校年度を堅持しており、日本はその一例にすぎない。「日本だけが例外で外国はみんな9月始業」という認識は間違いである。

仮に9月始業にしたとして、大学は単位制なのでまだいいにしても、高校までは学年制なので、急に4月から9月に変えれば半年分が増えたり減ったりして子供が割を食う、という意見もある。まあこの辺りは、算命学者としては「気の転換」としてその世代に与えられた好機に転じることも可能だと考えるが、いずれにしても「外国がこうだから日本もこうする」というのはやめた方がいい。外国が立派であるという保証はどこにもないし、宇宙人の目には日本人の性質や道徳心含む文化全体が総じて世界を引き離して優れて見えるので、向こうが日本に合わせるのが正解だくらいに考えている。

そういう考えを補強するエピソードを紹介しよう。キルギスの話だ。当地の学年度はロシアに倣って9月始業、翌年5月末が終業だ。コロナによるオンライン授業も予定通り今週いっぱいで終了となるので、宇宙人もこの一年の総括しようと思う。そのうちの一つがNo.1290で伏線だけ記したチェス合宿事件だ。この時の記事は「文化のない環境が窒息を促す」という点に絞ったが、事件と称する出来事は他にあった。
おさらいすると、学校にはチェスクラブがあって100人程の生徒が所属している。結構強いらしく、全国大会に選手を出すべく校内大会合宿を企画した。合宿場所は学校から車で2時間ほど離れた田舎だが、学校の分校があって大勢泊まることができる。更に近所には校長の親戚が経営するゲストハウスがある。校長は日本人ボランティアの気晴らしにと我々3人をこのゲストハウスに二泊三日で招待し、往復の交通は子供たちを送迎するスクールバスに便乗するという段取りであった。

ところが三日目の夕方、約束の時間だというのに帰りのバスが来ない。常に遅れるのが習慣のキルギスなので1時間待ってみたが、それでも来ないので連絡したところ、もうとっくにバスは出たと言う。積み残されたわけだ。幸いゲストハウスは無料でもう一泊させてくれたが、帰りのバスは早朝出る路線ミニバスということになった。既に記事にしたと思うが、この国の主要交通であるミニバスは基本的に窓が開かない。運が良ければ天窓が開くが、基本的には密閉状態で、空調はない。運転席の窓だけは開くが、排ガスが入るので閉め切ることが多い。冬は特にそうだ。そして始発のバス停で乗らないとまず座れず、満席超過である。こういう空間に不自然な姿勢で2時間立ち続けるのは拷問である。案の定宇宙人は窒息し、帰宅後は体調を崩して寝込むことになった。

この事態の責任は無論、引率の教師に帰する。校長は学校の代表として謝ってくれたが、校長のミスでないことは明らかなので、宇宙人は引率教師Sの謝罪を待った。日本人は米国人ではないので、謝ったからといって金銭的賠償や精神的敗北を強いるものではない。不愉快事ではあったが大事には至らなかったので、ただひと言謝罪すれば許される。それは校長も承知している。しかし何日経っても謝罪が一向にない。校長に問い質すと、Sは「もう謝罪した」と答えたという。
実は私が帰宅した日の夜8時過ぎにSから電話があった。謝罪かと思いきや、別の日本人の電話番号を教えろという要件だった。更に今から食事に行きましょうと言ってきたが、断った。夕食は済んでいるし体調が悪いからだと伝えた(お前のせいだとは言わなかった)。それで電話は切れた。Sの説明によれば、この電話と「食事に誘った」ことで自分が謝罪を済ませたことになっているらしい。しかし日本に長く暮らした校長は、私の事実説明の方が真実であると理解した。日本人はこういう嘘をつかないからだ。一方のキルギス人はそういうことをする。特にプライドの高い男はそうだという。キルギスは伝統的に男性優位社会である。男が女性に謝罪するのは格好が悪いというわけだ。

しかしこれは男女差の問題ではなく、モラルの問題だ。人間としてやるべきか、やらぬべきか。よもやキルギスではこうした場合に謝罪なく済ますのが通例なのかと校長に詰め寄ってみたが、勿論そんなことはないと校長も踏ん張った。他の教師や生徒らにも尋ねてみたが反応は同じだ。だからキルギスのモラルが特別低いわけではない。教師Sの認識と態度がおかしいのである。とは言え、こういう人物が教壇に立って子供たちを指導していること自体が既に間違っているし、こういう曲がった人間を教師として採用した校長の見る目のなさも非難されて然るべきである。つまりキルギスとは、こういう事態を容易に起こす原因を内包している社会だということなのだ。

ともあれ宇宙人はSの謝罪を待つことにした。遅れれば遅れるほど恥が上塗られるだけだという点は、校長に念を押しておいた。米国人ではない日本人が、言葉の謝罪だけで、サイアク電話ででも謝罪を受け入れることも念を押しておいた。校長は「絶対に直接会って謝罪させます」と意気込んでいたが、そこまでSを動かす力が校長にあるかは疑わしい。というのも、教師Sはその後「体調不良」で学校を休み続けたからだ。職場で顔を見かけないなと思っていたら、病欠らしい。その病の原因とは、よもや宇宙人なのか。あり得るな。ケッ、ヘタレめ。弱いのはメンタルだけでなく、無駄にでかい図体もかよ。
この事件が2月初頭に発生して、翌週の平日には既にSは欠勤を始め、現在に至る。宇宙人はこの話をSが謝罪をした日で締めくくろうと思って今まで書かずにいたのだが、もう学年度も終わることだし、このまま謝罪はないと見た。コロナによる学校閉鎖は3月16日からだから、一カ月半待った計算だ。恐らくSは宇宙人がもう忘れたと考えているのだろう。

とんでもない。日本の皆さんに周知頂くよう、かように備忘録を記してやろう。帰国の際には校長にも事実を告げて去ろう。そしてキルギス人のこうした一端を日本で紹介すると伝えよう。だって事実なのだから。嘘は役に立たないが、事実は役に立つ。だから宇宙人はありのままの事実を書くのだ。これが宇宙人の実見したキルギス人のモラル度の一端である。
子供達よ、キルギスに行きたいと思うかい。尊重できる相手かい。よく確かめてから、付合う相手や助ける相手を決めるのだぞ。自分のミスの謝罪もできない人間は立派ではない。自分の都合のいいように記憶を変える人間も軽蔑すべき輩だ。もっと質のいい人間は大勢いる。そういう人と交流し、困っている時には力を貸すのだぞ。

by hikada789 | 2020-05-20 15:27 | 宇宙人@キルギス | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人