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土星の裏側

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宇宙人と呼ばれた人達の診療所

<   2013年 07月 ( 14 )   > この月の画像一覧

日曜日の夏季錬成会はお蔭様で盛況でした。見物にお越しの皆様、暑い中ありがとうございました。宇宙人は午前中に出場した地謡で何度か間違えてしまいました。申し訳ございません。同じ演目でもシテによってスピードやら粘度やらが違うので、地謡はその時のシテの泳ぎに合わせてザンブザンブと強弱の波を送ってシテを後押しし、最後は凪いで収束するよう謡わなければならず、高度な技術がいるのです。宇宙人はその技術に気を取られてうっかり歌詞を忘れたのでした。えーん。

でもこういうのは実際に体験してみないと判らないものです。入門したての頃の出場はシテばかりで、地謡をやることはなかったので苦労が判らなかった。以前、宇宙人がシテの仕舞をやっている最中に地謡(責任者は地頭のお師匠様)が詞章を8節ほどもゴッソリとばして(こんなに抜いたら終わっちゃう)、とばした先から続けるべきか、地謡を無視して仕舞を一方的に続けるべきか、舞台上をひと回りする3秒ほどの間に猛スピードで頭を回転させたものです。
この時はたまたま次の動作が中央でちょっと立ち止まるところだったので、そこで長めに留まって地謡が巻き戻すのを待ち、なんとか持ち直したけれど、こういう不測の事態はあり得るのです。怖いですね。白髪増えちゃいます。でも後日この事件を他の能楽師に語ったお師匠様は、「地謡を聞いているお弟子がいるのよ~」とまるで私の方が不測の事態だったかのように語ったそうだ。え、シテ(お弟子)は地謡を聞かずに舞うのが普通なの? 今日実際に地謡をやってみると、なるほど、シテは地謡にお構いなしに舞っていることがよく判る。だから地謡に要求される技術が高くなるのも当然なのでした。

なお出演者の多くが着ていた揃いの浴衣は、金春流のロゴ(五星)をデザイン化したユニフォーム浴衣です。宇宙人はもともと和服は武道着しか持っていなかったので、入門時にロゴ浴衣をお仕立てして毎度着ています。会員なら先生に頼めば作ってもらえます。身長と腕の長さを測って下さい。色は紺地に白丸と、白地に紺丸(カルピス模様)の二種類から選べます。お値段は、デパートで反物を選んで仕立てる料金の一番安いタイプにほぼ同じです。当時会社勤めだった宇宙人がそれほど高くないと思ったから、きっと世間ではお値打ちです。生地はしっかりしていて、その辺のスーパーでセールしているペラペラした浴衣とは品質が違います。ただ意外と派手な柄なので、仕舞会以外に着て行くには勇気がいるかもしれません。
流儀の発展のために営業してみました。でも浴衣作りは仕立屋が儲かるだけで流儀には反映されないのかな?
by hikada789 | 2013-07-31 11:53 | 宇宙人の能稽古 | Comments(0)
生霊事件を収束させるために伊勢参りをしたのはもう7年程前のことだが、当時も伊勢神宮は不便なところにあるなという印象で、近くにお手軽な宿がなくて苦労した記憶がある。伊勢マラソン経験者の友人も同意を示し、マラソン参加者の定宿は、神宮の最寄駅から電車で15分ほど離れた松坂駅徒歩15分に位置するスーパーホテル松坂(朝食付き)だと教えてくれた。ここはF1愛好者の定宿でもあるようだ。

宇宙人はこの秋にイベントで伊勢に行くので、このホテルの予約を既に済ませた。東京から名古屋までは夜行バスも走っているが、夜行バス利用による体力消耗はよく知っているので、日帰りはやめて前日一泊することにしたのだ。前日は名古屋観光でもするか、伊勢志摩辺りを歩き回るか、これから練ろう。
東京から、あるいは近畿東海からイベントに参加する方で、宇宙人とブラつく予定の方は、ご参考下さい。近畿東海からは伊勢参り用お得パスが発売されてますが、これは9月一杯との話もあるので、10月からの情報にご注意下さい。
業務連絡でした。
by hikada789 | 2013-07-29 11:30 | 宇宙人の能稽古 | Comments(0)
「本当にあった生霊事件」の連載中は図らずもブログアクセス数が急増したので、思わず途中から「この続きは有料サイトで…」と稼ぎの方へ持って行こうかと考えたが、卑し心を出すとロクな結果にならないので思い留まった。地道に行こう。

前回の余話#U17では「持って生まれた宿命は生涯変えられないが、生まれた後の生き方次第で欠点は補える」という点を強調しました。
いくら宿命が優れていても、教育もされず努力もしなければ運勢は上がりません。稀に大した努力もしないで幸運をつかむ人もいますが、それは余程特殊な宿命の持ち主か、さもなければ親や祖父母に大変努力をして財を成すなり人格を上げたなりした人がいて、その人の陰徳を子供が有難くも引きずっているという事態に過ぎません。親が立派な人間だとその子供もさぞかし、という評価になるのは当然です。親が裕福なら当然子供だって小遣いに不自由しないでしょう。そしてそうした親の威光は親が亡くなるとせいぜい孫の代くらいまでしか続きません。凋落したくなければ本人が自助努力して開運するほかありません。

その一方で、世間では立派な親に限って放蕩息子やドラ娘が育つこともしばしばです。こうしたケースは、一つにはその親が世間で思われているほど「人間として立派」ではなく、単に金持ち(禄)とか有名人(官)とかいうだけの話で教育者(印)としては失格だったということもありますが、もう一つには、その親は本当に立派であったがそれは人一人の器量を超えたもので、その超えた部分は実は子供の運勢から奪ったものであり、だから親に奪われた子供は運勢や人格を落とした、という風に算命学では考えております。

ちょっと残酷に聞こえるかもしれませんが、そもそも親子関係とはそうしたものです。通常の家庭では、夫婦は子供の養育のために自分の時間や稼ぎを注ぎ込むわけですから、立派な「犠牲」となっているわけです。しかし世の親御さんはそれを犠牲だとは思わない。これが愛情というものだと納得しているからであり、元より人間の子供は成人するまでに年月が掛かるので、自活できる年頃になるまで余力のある大人が支援するのは当然だと考えているからです。この「自らの犠牲を厭わない」親の姿を、人は尊いと感じるのです。
(そういう意味で、大成功した親というのは我が子の分の運勢をぶん捕っている可能性が高いです。有名人を見て下さい。いい例が沢山あります。なお、「子供の運勢をぶん獲る親」の最大の現象は「子が生まれない」ことであります。)

我が子のための犠牲を厭わぬ親の姿に感動した息子や娘は、大人になったら親孝行したいと思うでしょう。そうかと思えばこれだけ献身してもらったのに全然感謝しないという子供もいるでしょう。道義的には後者は非難されますが、運勢的にそれが正しくないとは言い切れません。一方、親の方でも「自らの犠牲を厭わない」親ばかりではありません。子供のために自分が我慢している状態を苦々しく思い、子供が成人した暁にはたっぷり恩返ししてもらうつもりという卑しい親もいるでしょう。
こうした価値観や心情の違いもまた、宿命に出てしまう先天的な原因と、成育・生き方が築き上げる後天的な原因とがあります。

算命学の考え方を整理すると、世間一般の道徳や常識というものは(国や地域によって若干異なるものの)社会のスタンダードを形作っているという認識であり、その道徳が8、9割がた世間にまかり通っているなら社会は「概ね正常な平和時」、通用しなくなっているなら「異常な時代・動乱期」と考えています。

算命学は陰陽二元論なので、平和があれば裏側には当然動乱があり、戦争もまた否定しておりません。ただし、戦争が日常化すると生命・繁殖を司る火性の働きが著しく脅かされるため、火性と相生関係にある木性(幸福)と土性(財産)も共倒れとなり、社会は貧困と不条理のまかり通るデススパイラルに陥るのです。
火性の衰退で独り勝ちするのは相剋関係にある金性(名誉)です。名誉で飯は食えません。こうして飢餓が行き着くところまでいくと人間は戦う意欲も体力もなくなって戦争をやめます。平和が復活し、やっぱり平和がいいね、食べられて、という結論に達します。少なくとも戦争で飢えた世代が入れ替わるまでそういう価値観が続きます。これが概ね8、9割の世情を占めているというわけです。算命学は五行論でもあるので、五行が世界を等分すれば、金性が世界を占める割合は約2割というわけです。

(この続きは「ブクログのパブー」サイト [http://p.booklog.jp/] に公開しました。副題は「中殺生まれと子供の養育」です。「算命学余話 #U18」で検索の上、登録&カップゼリー1個分の料金をお願い致します。登録のみは無料です。)
by hikada789 | 2013-07-25 16:06 | 算命学の仕組 | Comments(0)
じめじめした話が続いてしまったので、明るいイベントのお知らせです。宇宙人が稽古している能楽師の先生が主催するお弟子の発表会が開催されます。今回はゆかたで行う仕舞がほとんどで、能や舞囃子は出ませんが、ゆかたを着て行う催しは花火大会だけではないので、興味のある方、習ってみようかなと考えている方は是非ご観覧下さい。無料です。
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理春会夏期錬成会
◆日時:平成25年7月28日(日)10時半~4時頃終了(昼休みあり)
◆場所:セルリアンタワー能楽堂(渋谷駅より徒歩3分。地階)
◆内容:お弟子による仕舞、独吟、及び指導能楽師らによる番外仕舞。
◆入場:無料。飲食不可。携帯電話不可。撮影不可。居眠り可。
◆宇宙人出没情報:
午前中に数回地謡を端っこで謡う他、午後に仕舞『阿漕(あこぎ)』をやります。
能『阿漕』は禁漁区で漁をしたために罰せられて沖に沈められた漁師の霊の話です。漁師は例によって地獄めぐりをして海産物のお化けにいぢめられ、通りすがりの僧侶に救済を求めるというあらすじで、仕舞は最後のシーンです。謡いと動作の連携は以下の通り:

「丑三つ過ぐる夜の夢~」生霊事件の発端も丑三つ時の夜中の目覚めであったなあ。
「目の前の地獄もまことなりげに~」怯えてキョロキョロ見回すような仕草をします。
「阿漕がこの浦に、なお執心の心ひく網の~」扇で投網する仕草をします。
「身を痛め、骨を砕けば~」海産物のお化けに続き、地獄のツララにぐっさり刺されよろめく。
「焦熱大焦熱の焔けむり雲きり~」ツララの次は灼熱地獄なのだ。
「立ち居にひまもなき~」地獄アトラクションは盛りだくさんで忙しい。
「助けたまえや旅人よ~」能ではそこにいるはずの僧侶に向かって合掌。
「また波の底に入りにけり~」ブクブクと水底に沈んで終了。

追記:『阿漕』はシテが地獄にいるため、空気が爽やかではありません。どろどろした空気を表現するため、仕舞はねばっこく行うのがミソです。『阿漕』のひとつ前の演目が『八島』で、これは源義経がシテの勝ち修羅です。若武者の颯爽とした舞なので、空気も爽やか。『阿漕』とのコントラストをお楽しみ下さい。
by hikada789 | 2013-07-23 16:57 | 宇宙人の能稽古 | Comments(0)
(前回つづき)C嬢の登場によりクライマックスを迎えた生霊事件は、ここで話を終えるには惜しいほどの後日譚がある。C嬢のお蔭で安眠生活を取り戻した私は、それが本当にC嬢の「守り」の効用なのか単なる自己暗示なのか判別しかねるものの、会社の異常な事態を冷静に眺めるだけの余裕を取り戻し、仕事に向かいながら横目でちらりと所長を観察するにつけ、だんだん彼の顔がおかしくなってゆくのが見逃せなくなってきた。A嬢を切り捨てていないのが明らかな彼は、海外でもモテモテのその自慢の美貌が、なんと斜視になってきたのだ。おまけに言っていることも何やら辻褄が合わなくなり、こちらが注意を促しても自己弁護するばかり。こんな人ではなかったはずだが。まるで大阪本社の社員のようではないか。(これは伏線になります。)
大阪には今回の事件については話していない。秋には業界恒例のフラワーショーが東京で開催され、本社からの社員と共同で参加することになっていたが、宇宙人、どうやらそこまでもたないな、と見切りをつけて辞表を提出する。引継ぎはきちんとしたいので、Bを正社員に格上げし、更に人員募集を掛け、新人の教育をフラワーショーまで担当することを条件に離脱を受理された。(指にできた皮膚の穴は、この頃手足に拡大を続けていた。)

中途採用された新人D嬢はA嬢よりも更に年上の独身女性で、経歴や資格がご立派なのでこんな小さな会社に入れるのはもったいないような気がした。彼女はおっとりした古風なお嬢様タイプで、仕事の引継ぎには不安を感じさせなかったが、やや神経質なところがあった。フラワーショーには所長とBと一緒に参加してもらい、私は事務所で最後の発注と入荷の手配を終えて、フラワーショーの最終日に合わせて退職した。つまり会場に詰めている彼らと顔を合わせず電話口で別れたのである。
これできれいさっぱり縁が切れた。私はその後、もしかしたら生霊とは関係がなかったのかもしれない皮膚の病(退職後に拡大は止んだものの快方には向かっていなかった)を、当てにならない医者ではなく神様に治してもらうべく、年末に伊勢参りを行い、驚愕の即快を目の当たりにする。特別なお祓いではなく通常のお参りをして境内に数時間留まっていただけなのに、早くも液体の流出が止まっている!穴もみるみる塞がるではないか!伊勢神宮、おそるべし!日本に生まれて良かった!神様ありがとう(泣)!こうして宇宙人は心身ともに清められ、心機も新たに正月を迎えることができたのであった。

これでこの事件は結着したものと思っていたが、私の知らないところで話はまだまだ続いていた。おかしな職場に引き込んでしまった負い目からBとは疎遠になっていたのだが、年明けに連絡があり、その後の顛末を聞かされた。私が退職したあの日、フラワーショーの会場が閉館時間になるや、突然D嬢がワッと泣き出したそうだ。Bと所長は驚き、理由を尋ねたが回答を得られなかった。間もなくD嬢は病気で休みがちになり、やがて入院して現在に至るという。
話はまだまだ続く。B一人での仕事はきついので臨時社員を雇うこととなり、なんとあのC嬢がバイトで補充されたが、C嬢はまるで嫌がらせのような霊障を受けて原因不明の擦過傷などをこしらえ、日々の業務に耐えていた。ある日Bは出張で大阪本社に赴いたが、実はBは方位占いの技能があり、本社の社員から興味本位で占ってくれと言われて方位磁石を取り出したところ(方位占いには正確な方位が必要)、磁石の針がグルグルと回り続けて方位が定まらなかったという。その話をC嬢に伝えたところ、C嬢はまた突然霊視を開始し、「大阪の本社に何かとてつもなく大きな存在(霊)がある。強力にブロックされていてよく見えない」と穏やかならぬことを言う。それはつまり、話がA嬢の身辺に留まらず大阪本社に及んでいる、いや規模からして大阪本社が元凶ということだろうか?
自らアマチュアと自称するC嬢は、気の毒にもこの件に関与したばっかりに霊障の集中砲火を浴びる格好となり(霊媒体質は霊的攻撃を集めやすいそうだ。本当に申し訳なかった)、自分でもどうしていいか悩んでいたところ、本職の霊能者の緊急の助言を受けて本格的な除霊の修行を始めることを決意した。所長の挙動は益々おかしくなり、斜視も更に拡大し、何が決め手かは聞かなかったが、本社からの独立どころか年度末で事務所を閉じることになったという。A嬢のその後は知らない。

更に後日、もう事件も忘れた頃に私はある職業霊能者と話をする機会を得、事件とは全く無関係な個人的な霊視をしてもらい、大いに楽しくすごしたのだが、例によって本物の霊能者は頼んでいなくとも霊視を始めてしまう習性のようで、突然、話題にもしていないあの生霊事件を蒸し返してきたので驚いた。
その人の見立てによれば、C嬢が見たという「大阪の大きな何か」については不明なものの、そもそもの原因はA嬢の生霊ではなく、東京事務所のあったビルの土地にあるというのだ。その人にはC嬢の話にはなかった別の霊が見えており、比較的古い、良くない女の霊で、土地そのものに憑いており、その位置はちょうどA嬢の席のあった真下だという。A嬢がおかしくなったのはこの事務所に引っ越してきてからであり、つまりA嬢は犠牲者であって元からの加害者ではなかったというのだ。Bが入社した時に席の配置を変えたので、その後直撃を受けた被害者は出なかったが、おそらくD嬢はA嬢と性質が似ていた(責任感と自負心が強く、自分のルールに固執する等)ためにこれまたとばっちりを喰らったのではという分析だった。その後私は何度か事務所のビルの前を通り掛かったが、事務所のあった部屋はいつも借り手がなく無人のままであった。

5回に渡って連載してきた本当にあった生霊事件の、これが全貌です。如何でしたか。少しは涼しくなりましたか。私は自身が霊感を持たないので、彼ら霊能者の話が本当かどうか確かめる術もないのですが、当事者としては全面的に信じた方がよっぽど話の辻褄が合うのでした。それぐらいあっちもこっちもおかしな事件で、C嬢の分析を聞いて「そうだったのか、ようやく合点がいったわい!」と膝を打ったのを覚えています。理論ではなく感覚的にこれが真実だと納得できたのです。無論、機械の故障や不眠や健康被害はそれぞれ単独でも日常に起こり得るので、霊障としてひとくくりにするのはコジツケだと言われても否定はできませんが、ではそうした故障や健康の阻害のそもそもの原因は何だったのかと逆に質問すれば、それもまた明確な答えは得られないのです。メンテナンス社員も病院の医者も首をひねっていたのですから。信憑性の度合いとしてはどちらも同程度に不十分なのです。
いずれにせよこうした実体験のため、私は霊的世界というものの存在を認めざるを得なくなり、算命学の理論でもその存在や能力が否定されていないことから、ある種の人間には一生縁のない世界と深く係わって生きている人種がいる、という前提で運勢鑑定を請け負っております。霊的世界の他にも我々が一生かけても遭遇できない世界というのは山ほどあり、そうした未知の世界に対して頭ごなしに否定するような生き方はあまり得をしないものだ、くらいの認識で間違いないと思われます。
by hikada789 | 2013-07-22 18:32 | その他 | Comments(0)
(前回つづき)事務所近くのレストランにて第2幕開幕。生霊というと、日本には源氏物語に出てくる六条御息所が有名だが、アレですかと訊くとアレだという。C嬢の説明はこうだ。誰でもそうなるわけではないが、執念深い人の場合、恨みや執着のある相手のことを無意識に想いつめてしまい、本人の意思とは関わりなくその魂が相手の所へ飛んで行く。これが生霊である。大抵家で寝ている時や悶々と過ごしている時に魂が抜けやすく、他に考えることがないヒマな人ほど生霊になるのだという。
「ヒマ」
「そうです。所長さんのお話ではA嬢は自宅でボーっと過ごしているだけですが、こういう人ほどロクなことを考えません。やることがないので一日中ぼんやりしてますが、その半分意識のない状態が生霊になりやすいのです。その間、A嬢は一番思い入れのあった場所である事務所のことを考え、所長さんのことを考えています。そこが居心地が良かったからです。でも同時に今となっては不愉快の元凶です。だから彼女が恋しくも恨めしく思っている対象は事務所と所長さんです」
「え、じゃあ私やBは関係ない?」とやはりわが身が気になる宇宙人。
「ええ、単なるとばっちりです。あの事務所にいたから災いをもらったのです」
ああ良かった。そうだよ、私は何も恨まれるようなことはしていないぞ、と常の己の態度に自信を取り戻す宇宙人。(しかしこのくだり、私が信念をもってA嬢の非を面と向かって指摘したくだりを語ると、ある友人は「そういう危険なマネはやめろ。お前は正しいがその正しさが相手の逆恨みを買う危険性を考慮しろ」と心配して諫めてくれたのだ。よき友人である。)
「でもどうすれば解決するんでしょう。不眠は長く続いているし。肩こりや電話の故障は気のせいでしょうか」と自分の救済への道を急ぐ宇宙人。
「宇宙人さんとBには、私が守りをつけてあげます。守りというのは霊的なオブラートみたいなもので、これで包むと今後やって来る霊障をブロックすることができます。これは簡単なので私にもできるんです。今やってあげます」
とC嬢は席を立って店を出、ドアの外に佇み、数秒して戻ってくると、「はい、つけました」と任務の完了を報告する。意外な速さに驚く二人。
「とりあえず今晩寝てみて、熟睡できたらうまく行ったと思って下さい。多分大丈夫です」
果たしてその晩から、二人は丑三つ時に目覚めることのない安眠と快眠を取り戻したのであった。ありがとう、C嬢!しかし話はまだまだレストランで続いている。問題は所長である。
「所長さんにはそのオブラートは付けられません」
「どうして」
「私は専門家でないので、霊をどけることはできません。オブラートは霊が来るのを退けるものですから、既に霊が憑りついている所長さんには付けられないんです。今の霊の状態は…」
と立ち上がるC嬢、所長の席に歩み寄り、両手をバンザイの形に広げて頭上から掛布団のように覆い被さる仕草をする。「こんなカンジです」
この被り物をどけないことにはオブラートは被せられないそうだ。思わず心の中で吹き出す宇宙人。ここまでの説明が既に充分常軌を逸しているのに、ここだけ妙に論理的なのが可笑しかったのだ。断っておくが、C嬢は至って良心的な女性で、常識と分別のある、信頼に足る人物であると今でも思っている。この人に比べればA嬢の方が余程分別と自制の足りないお子様な人間であった。霊能者だからといって常識がないわけではないのだ。

「では所長はどうやったら解決できるんです? どこかで本格的な除霊をした方が?」
「除霊は効果が薄いです。除霊すれば成仏していなくなる死霊と違って、生霊は本人が生きており、相手のことを思い出す度に何度でも憑りつくのでタチが悪いんです。当人にやめるよう言っても自覚がないから効果ありませんし。でも対処法はあります。生霊というのは実際長くは持続しないものなのです。恨みや怒りという感情は疲れるので、体力的に長続きしません。放っておけばじきに忘れて来なくなります。でも所長さんはちょくちょく電話したりしてかまってあげている。これがいけないんです。電話する度にA嬢は所長さんを思い出し、また恨みを再燃させて生霊となって戻って来ます。一番いいのはA嬢を無視して切り捨てることです。初めは強い恨みを買うことになるかもしれませんが、もういくら恨んでもかまってくれないのだと本人が悟れば、それ以外の事に目を向けることになります。お腹が空けば買い物にも行かなければならないし、掃除や洗濯をさぼるのも限界があります。嫌でも日常生活に戻らざるを得なくなります。彼女がそうやって自己回復するまで連絡をとってはなりません。だいたい家族でもないんだし、いい歳した大人をちやほやし過ぎです」
…一同、言葉もなく聴き入る。成程もっともな意見である。そもそも所長は甘やかし過ぎると、武道家の宇宙人は鼻白んできたのだ。優しければいいというものではない。算命学だって甘やかして育つと潰れる宿命があるといっているくらいだ。この場合完全に逆効果だったに違いない。こんな解決法で済むならお金も労力も掛からない。これでめでたく一件落着ではないか。

しかし所長は納得いかないのか黙ったままである。優しさが仇になったと言われ、己が人生を否定された気分になっているのかもしれない。C嬢は畳み掛ける。
「まあ所長さんには難しいかもしれません。こういう問題は宇宙人さんのようにドライにバッサリ対処できる人でないと即決しませんよ。でも私は以前、一度だけ同様の生霊事件の相談を受けたことがあるんです。それは元恋人同士でした。フラれた女が男に憑りついたんです。私は同じように切り捨てろと男性に助言しましたが、男性はかつての恋人に情があるので無下にできず、結局切り捨てられなかった。その後二人がどうなったのかは知りません。そこまで面倒見切れないので」
ごもっともである。私だって運勢鑑定で助言した依頼人が助言に従うかどうかまで面倒は見ない。近親者でもなければそれ以上係わる義理はない。他人に甘ったれるのもいい加減にしろである。ドライと看破されてしまった宇宙人とBはC嬢の分析に同意する。しかし一番の被害を被っているはずの所長は何とも応えない。優しさは優柔不断の裏返しである。にわかにダンディな所長がグズ男に見え始め、これでもA嬢を切れないなら私も進退を考えなければならないな、と自分の明日に思考をめぐらす、切り替えの早い宇宙人であった。(つづく)
by hikada789 | 2013-07-20 12:23 | その他 | Comments(0)
(前回つづき)その日はやってきた。C嬢の登場である。C嬢は強力な霊視能力があるもののそれを職業にはしておらず、見ることはできても除霊など作用を及ぼす技術はないアマチュアであった。Bの話によれば、いわゆる霊を見ることの他、人の体の悪い所やかつて手術した場所などの健康状態を服の上から眺めて言い当てるという。話にはよく聞くが、私にとってこういう具体的な特殊能力を持つ霊能者と面会するのは初めての経験であった。
その日事務所には大量のバラがサンプルとして届いており、バケツに無造作に差し込んだ色とりどりのバラが狭い室内に足の踏み場もないほど咲き乱れていた。そのため大柄なC嬢がドアを開けた時に思わず「うわ…圧迫が…」と洩らしたのはバラのせいだと思ったのだが、違った。圧迫の原因はA嬢とおぼしき女の霊気の充満であったのだ。

仕事の手を止めて早速C嬢に話を伺うと、C嬢が「憑りついている」という霊は確かにここで働いていたA嬢だという。A嬢は現在も病気療養中で、優しい所長が時々自宅に電話をして容体を窺っているが、「体は悪くないが元気がなく、気力がないので家からもほとんど出ないで過ごしている」という。生きているわけだ。つまり生霊だというのである。
生霊となったA嬢は一体何をしているのか、と問うと、彼女はそこにいます、と私の後ろを指さす。
「なぜここに?」と鳥肌を立てつつと尋ねると、
「多分他に座るところがないからです。元の席は今はBが座っていますし」という。
「つまり私に憑りついているわけではない?」
「ええ、違います」
安堵する宇宙人。そうだとも、もとより私は恨まれるようなことはしていないのだ。
「どうして生霊になったのか、何を望んでいるのか」
と既にA嬢=生霊前提で話を進める社員たち。だってその方が話の通りが早いのだ。A嬢を知らないBはともかく、所長と私はA嬢を知っている。何となく生霊というか逆恨みしそうな雰囲気の似合う人だったのだ。私は最後に彼女に会った日に睨まれた時の顔つきを思い出していた。やりかねん。C嬢は少し考えるように沈黙してから、驚くべきことを言う。「今、彼女と交信してますから、訊いてみます」

一同固唾を呑んで1分ほど待つと、C嬢はスポークスマンとなって生霊の代弁を開始する。
「現状に至ったすべてが気に食わないそうです。自分がここで更年期になったことも、それによって仕事をもらえなくなったことも、それによって鬱病になったことも、現在休職していることも」
「でもそれは仕方のないことでしょう? 更年期が本人の責任じゃないことは皆納得してるし、だからクビにもしてない。でもこのまま同じ仕事を続けていてもミスで会社に損害を出すばかりだから、軽い仕事にするしかないじゃない」と宇宙人が職場を代弁する。
「…どうもそれが受け入れられないようですよ。何だか自分がとても有能な女性だと思いたいみたいです」と逐次通訳するC嬢。
「でも実質は役に立ってないでしょ。今までの功労は認めるから、感謝の意味で異動を勧めているのに。普通の会社ならとっくに辞表を書かせてますよ」と宇宙人。
「…うーん、どうも堂々巡りしているようですね。宇宙人さんの指摘が正しいのは明らかですが、A嬢はそれが正しいと認めたくないみたいで、駄々をこねてます。自分は悪くない、と繰り返してます」とC嬢。
「あ、もしかして、親御さんが病気になったことで心労が重なっていたのかな」と所長が助け舟とばかり割り込むと、
「…家族のことは関係なーい!と言ってます」とC嬢は一蹴。あ、家族のことはいいんだ、なんだ、良かった、と安堵する一同。家族の病気までは我々にはどうにもならん。
宇宙人は思い当たる節があり、生霊に向かって発言する。
「でも以前私も言いましたよね。更年期障害でミスが出るのは周りが気を利かせてフォローするけど、社会性を失った態度まで平気で続けられたら、そればかりは病気のせいにはできないよ、自分が悪いんだから誰もフォローできないよって。覚えてます?」
数秒沈黙。突然、C嬢は「ワッ!」と驚いて顔を上げる。「ど、どうしたんですか?」と詰め寄る一同。C嬢、いささかうんざりした表情で、
「キレちゃいました。ワーッてなっちゃいました。今私の頭の中でワーワー喚いています。何も聞きたくないみたいです。もう何を語りかけても人語を話してくれません」
所長とBはちょっと非難を込めて宇宙人を見る。もちろん宇宙人の発言に理がないからではない。唯一の手掛かりである霊能者を通じた交信が宇宙人の発言によりダメになったからだ。C嬢は立ち上がり、
「すみません、喚き声がすごくて、もういいですか? 私、この部屋から出たいんですけど」
と辞去しようとする。一同、驚いて押し止め、「ま、待って下さい! ちょっと表で待っていて下さい。今からランチに出ますから、ご馳走します。そこで話の続きを聞かせて下さい」と拝み倒し、場面は事務所から瀟洒なフランス飯屋へと移るのであった。(つづく)
by hikada789 | 2013-07-18 16:29 | その他 | Comments(0)
(前回つづき)五月になった。五月は母の日があるため花卉業界では繁忙期である。忙しい時期だというのに相方のA嬢の仕事ぶりがおかしい。入力ミスが続き、隣に座っている私との連絡も覚束ない。というよりすぐに言ったことを忘れてしまう。具合が悪そうなので所長が気を利かせてその日は早退させるが、A嬢が一人でやった仕事が確かか不安なので、私に頼んで二重チェックをさせる。しばらくそんな状態が続くが、A嬢は自分の仕事が信頼されていないことを察して不満気である。しかし物忘れは更に激しくなり、A嬢一人に任せるのはあまりに危険と周囲は判断せざるを得なくなる。

所長のO氏は英語とスペイン語が堪能なインテリ・パパだが、実に柔和な男で、人と争うところは見たことがない。男女共に好かれるナイスミドルである。私の入社当時もA嬢とあまりに気さくに話をするので、この二人できてるんじゃないかと疑ったほどだが、この時もA嬢を大層心配し、仕事をいくらもしなくても労って早退させるなど、武道家の私には考えられない甘やかしようである。そういう社風なのだなと了解し、仕事もダブルチェックは面倒だが最初から一人でやる分にはさして重荷にならないので、当面私はA嬢の分まで二人分働いた。人の分まで働くという事態は、それ以前の職場でも以後の職場でも概ね同様であった。私が気を付けることは、A嬢のプライドを傷つけずに仕事を自分のエリアに引き込むことぐらいである。

その後A嬢は休みがちになった。所長の話ではA嬢の親御さんがガンになり、同時に本人が更年期障害と診断されたということだった。年齢としては随分早いが皆無という年ではない。物忘れはこれで説明がつく。ついでに彼氏にもフラれたようだが、いずれにしても度重なるショックが原因で医者は鬱病との診断も下し、A嬢は診断書を直接所長に提示したという。柔和な所長はクビにするのは忍びないので、貿易の部署から外してミスしても大事にならない社内事務への異動を勧めるが、A嬢のプライドが許さないらしく、辞令が出せない。
A嬢は鬱病の薬をデスクの上で音を立てて取り出して呑み、物忘れを指摘されたわけでもないのに自分の働きぶりが悪いのかと周囲に当たってはこれ見よがしのため息をついた。繰り返すが武道家である私はこの種の態度は許されない環境で生きているので、あなたの更年期障害など誰も責めはしないが、更年期とは関係のないそうした子供のような態度は社会人として慎むべきだ、と率直に助言したところ、ものすごい目つきで睨まれてしまった。A嬢は所長の取りなしで早退し、翌日から病気休養となった。私にとって仕事はしやすくなった。(この経験のため私は鬱病の人が嫌いになった。)

A嬢が容易に復帰しないことは明らかだったので、所長は人員を補充した。ちょうど私の知人Bが求職中だったので、A嬢が回復するまでのアルバイトとして雇うことになった。Bは有能なので仕事ははかどったが、私にとって苦手な夏が近づき、梅雨の蒸し暑さで寝苦しく、睡眠不足で体調が悪くなった。夜中に2度目が覚める習慣が続いていた。そのことをある日Bに洩らすと、それは何時頃かと尋ねるので、決まって2時半と4時前だと答えると、Bは自分もだという。驚いて顔を見合わせると、近くに所長もいたので「こういうことってあるんでしょうか」と何気なく訊くと、所長もまた自分もそうだと白状する。
この辺りから雲行きが怪しくなる。Bは語り始めた。Bには霊能者の友達C嬢がいた。数日前にBがC嬢と電話で喋っていたところ、突然C嬢は霊視を開始し、「お宅の最近の職場、変な物が見える。ちょっと心配」と言ったという。何が心配なのかと問えば、「こういう髪型で、こういう服の趣味の、こういう体型の、こういう年頃の女が憑りついている」とオカルトな回答が寄せられた。その風貌は誰あろう、まさしくA嬢であった。

Bは入社して間がなく、採用時に前任者が休養中だとは話したが、それがどんな人か名前も風貌も教えたことはないし、無論写真も見せてはいない。前任者について話題に上ったこともない。それなのにBが、というよりBの友人であるC嬢が電話で話しただけで会ったこともないA嬢の風貌をピタリと当ててみせたので、それが「憑りついている」という表現もにわかに信憑性を帯びてきた。おまけに3人とも夜中の同じ時間に2度目が覚めるという事態をここ数日繰り返している。
他にも異常はないかと探すと、昔患った肩こりや腰痛の再発や、自宅での電子機器の故障、電話が一回鳴って止む、など共通点が発見できた。Bに限っては遠い実家で飼っている飼い犬がまだ若いにも拘わらず突然死んでおり、腰痛や機械の故障くらいなら取るに足らなくても、ペットの命までとあっては見過ごせない。所長は複雑な顔をして黙っていたが、後に彼もまた家庭に問題が浮上していることが判った。私はというと、原因不明の湿疹が手指に出来、穴が開いて中から透明の液体が流れ出すという事態が始まっていた。私はアレルギーも繊細な皮膚も無縁で、血液中のアルコール濃度が高いせいかダニにさえ咬まれない頑丈な皮膚が自慢であった。病院にも行ったが医者も首をひねるばかり。総合薬をもらって毎日塗ったが一向に効き目がない。(この穴は日々増え続け、最終的に両腕、両足から胴体にまで及んだ。)
3人が3人とも霊や霊能者を信じているわけではなかったが、事態のあまりに異常な符号に揃って戦慄し、Bを介してそのC嬢とやらにこの職場で何が起こっているのか教えてくれるよう、事務所への足労を依頼したのであった。(つづく)
by hikada789 | 2013-07-16 20:17 | その他 | Comments(0)
そろそろ猛暑日も中断すると天気予報は言い続け、未だその日は来たらず。扇風機の購入をためらう宇宙人は(だって大きいんだもん、収納できないよ)、夏休みまではとエアコンのスイッチも我慢しPCを図書館に持ち込んで仕事をしているが、もはや限界か。土星裏に上げる記事を練るのも息苦しい暑さに、そうだ、とっておきの寒いネタがあるではないかと気が付いた。というわけで、以前から予告だけして延期したままになっていた、宇宙人の実体験に基づく「本当にあった生霊事件」を連載しようと思います。
この話は占いとは関係なく、以前宇宙人が勤めていた職場に起こった出来事とそれを分析してくれた霊能者が「見た」世界を組み合わせると、こういう構造になっているらしいという仮説話で、科学的根拠はなく、霊の類を全く信じない人にはつまらない記事になるかと思います。尤も、私の友人に霊感を全く信じない剛の者がおりますが、この人でさえ私の体験談の異常な部分は認めてくれたほどです。読むか読まぬか、信じるか信じないかは各人の判断にお任せします。宇宙人の請け負っている占い判断はこの種の霊界話はあまりカバーできないので、算命学履修者で霊感のない人は、占いに当たってこういう相談事が寄せられた場合は、「霊能者を頼ってくれ」と正直に言った方が親切かと思われます。

その会社は本社が大阪にあり、私が勤めたのは東京の小さな営業所であった。業種は切花輸入で、私は先輩社員であるA嬢とコンビを組んでコロンビア産のバラの貿易事務をしていた。仕事は簡単で一人でも出来る量だが、農産物であることと空輸であることが原因でたまに遅延などの問題が起こり、そうしたハプニング対処のために同じ商品について二人態勢にしていた。我々を監督するのは所長のO氏で、彼の管理部門の業績は好調だったが、大阪本社は古い市場の体質から抜けずに不調であった。私が入社する直前に東京営業所は近くのビルから移転していた。所長は好調なこちらの部門を本社から切り離していずれは独立させようと目論んでいた。

一年ほどして事件の予兆が現れ始めた。相変わらず本社の業績は思わしくなく、そのせいか向こうの社員と電話で確認しても何か辻褄の合わない回答が多い。大阪人は見栄っ張りだから、という関西人の所長の助言を容れて、なるべく刺激しないように事務的用件を伝えていたが、そのうちだんだんと連絡が来なくなった。
当時メールは海外とは普通に使っていたが、本社の人間は世代的に電話とFAXを使いたがるのでそれを待つしかない。連絡はない。しかし後になってその事を伝えると「した」という。電話は証拠が残らないのでどちらの言い分が正しいのか第三者に説明できない。こちらから電話すると繋がらない。居留守としか思えず、東京の社員は大阪に対し不信感を募らせる。証拠を残そうとこちらからFAXを送信するとエラーが掛かり、FAX受信の音がするのでやっと来たかと思えば受信音のみで何も送信されて来ない。電話が一回鳴り、止む。プリンターがよく故障する。パソコンの画面が突然落ちる。こういうことが続いたが、単なる電子機器の一時故障とみなして誰も気に留めなかった。(つづく)
by hikada789 | 2013-07-14 19:49 | その他 | Comments(0)
連日のあまりの暑さに、夏休み前の空いてるビーチに海水浴に行こうかと計画を立てたものの、あまりの暑さにビーチで失神しそうなので延期を決めた宇宙人、能稽古での先生との会話。
宇宙人:「先生、私あまりの暑さに食欲がなく、食べても味がよく判りません。味が判らないので一昨日の晩に何を食べたかも思い出せないほどです」
先生:「え、私も思い出せないけど」
宇:「それはまずくないですか。健康番組でよく見かけるのですが、老人ホームの老人たちのボケ具合を調べる簡単な方法として、一昨日の夕飯は何を食べましたか?という質問があって、何でもボケ度の低い人ほどちゃんとメニューを覚えているそうですよ。先生より20以上も年上の老人が対象の研究結果なんですよ」
先:「よく覚えていられるね。それって老人ホームが毎日同じメニューを出しているからなんじゃないの」
宇:「(なんてヒドイ発想だ、と思いつつ)今どきそんなことしたら虐待で訴えられますよ!まあ私も、老人ホームの老人は食事の他に楽しみがなくて、それで感動と一緒によく覚えているのではと疑わないでもないですが(これまたヒドイ)」
先:「あ、きっとそれじゃないの」
宇:「しかし先生も覚えてないということは、私が覚えていなくても特別ということでもなさそうですね。じゃああの研究結果はなんなんだ。何度かあちこちで見かけたのですが」

そこでハタと気付く宇宙人。もしかしてヤラセ? 自分は一昨日の晩飯が思い出せん、だから認知症予備軍だ、イカン、病院に行こう、と老人たちを仕向けるための医療業界の陰謀か。
いずれにせよ宇宙人はこの医療報道にすっかり騙されて(?)一昨日の晩飯を思い出せない自分をイカンと思ったのであった。ワ、ワタクシとしたことが!「これが標準よ」と謳う世間の思想誘導にまんまと嵌まるとは。皆さんはこの種の誘導に乗せられていませんか。一昨日の晩飯は何でしたか。覚えてないな、とうっかりこぼして奥さんの機嫌を損ねませんように。

こんな先生がシテを務める演能会のお知らせです。皆さん、是非お運び下さい。
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座・SQUARE 第16回公演~波の彼方~
◆日時:平成25年7月15日(月・祝) 午後1時開演(終演予定5時)
◆場所:国立能楽堂 (JR千駄ヶ谷駅 徒歩5分/地下鉄北参道駅 徒歩3分)
◆入場料:2,000~7,000円 (全席指定)
◆演目:能「清経」、狂言「蚊相撲」、一調「松虫」、能「天鼓」
◆チケット問合せ:http://www.zasquare.com/information.html 又は国立能楽堂まで。
by hikada789 | 2013-07-11 15:42 | 宇宙人の能稽古 | Comments(0)