人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

土星の裏側

doseiura.exblog.jp

宇宙人と呼ばれた人達の診療所

宇宙人の暮らす町内には昔ながらの小さな本屋がいまも生き延びている。隣の町はツタヤなど大型チェーン店が建って個人経営の本屋は駆逐されてしまったが、わが町内はリテラシーが低いのか、木箱に漫画雑誌を入れて店先に並べ、家族交替で店番をする呑気な本屋が住民の需要に応えている。読みたい本をいちいち買えばたちまち破産してしまう宇宙人は、図書館にある本はなるべく買わないようにしているが、しかしどういうわけかこの本屋に立ち寄ると何か買ってしまう。
立ち止まるのは新刊の山でも雑誌コーナーでもなく、店主の好みで並べていると思われる小さな教養本コーナーの前である。かつてのベストセラーというわけでもないちょっと古めの新書やハードカバーが、ちょうど宇宙人の目の高さに表紙を並べて誘うのだ。背表紙を向けていたら素通りしたやもしれぬのだが、「見て」とばかりの面積でアピールするのでつい手に取ってしまう。しかも1冊しかないので、次回に回すと売り切れてしまうのだ。書名を記憶して図書館で検索できることもあるが、大抵は忘れてしまうので、将来的な絶版の匂いがそこはかとなく漂っている場合はその場で取り押さえる。絶版危惧種だからといって良書とは限らないのだが、この本屋が薦める図書がわが趣味に合わなかったことはない。最近当ブログで紹介した『血液型の科学』もこの本屋で書名を記憶して図書館から借りたものだ。この店の店主とは気が合いそうなのだが、店番はいつも奥さんかニートっぽい風体の息子がやっているので会ったことは多分ない。そして店は今日も潰れない。

そんな謎めいた本屋が、例の教養コーナーに最近名札を付けた。「日本〇〇会推薦書です」といった文言をタイプしたリボンをコーナーの棚のへりに貼り付けたのだ。日本〇〇会の正式名称は忘れたが、書籍業界の、単なる本好きより上のランクを自負する集団が推薦する赴きある読み物、という位置づけらしい。ベストセラーになったことがないので世に知られていないがこのまま埋もれさせるには惜しい、と思われる不揃いな図書を見繕って並べ、「3週間で入れ替えます」と注意書きまで添えてある。宇宙人は3週間に1度も来ないので、気になったらその場で買うしかない。今回はノンフィクション『「日本國」から来た日本人』というのをお買い上げ。絶版間違いないと思うな。ちなみに隣には中村明一氏の『倍音』があった。これもわが家にあるが、既に希少本扱いなのだな。

先日テレビで、日本で最も売れた本ランキングなる怪しげなデータを開示していたが、いわゆるミリオンセラー本しかランク入りしておらず、絶版スナイパーの宇宙人は一冊も読んだことがないのだった。それらのヒット本は確かに何千万部も売れたかもしれないが、同時にブックオフの百円棚に大量に並べられているものなのだ。本当に売れて愛された本を調べたいなら、ブックオフで売られている部数を定価で売れた部数から差し引いたデータを作るべきではないのかね。是非作ってほしいものだね、ねえ店主。

絶版本を復刻してほしい宇宙人は「復刊ドットコム」というサイトに登録しているのだが、以前ここで『ナボコフのロシア文学講義』(小笠原豊樹・訳)を購入した履歴を辿ってか、ナボコフの自伝『記憶よ、語れ』の完訳本が来月復刻されるとの連絡が入り、「あと残り47冊」と脅し文句を入れるので、その場でポチッと予約してしまった。翻訳は若島正という人で、ナボコフの代表作『ロリータ』の新潮文庫版で抱腹絶倒の妙訳を披露してくれた日本語の達人である。翻訳はただ意味を訳せばいいってもんじゃないのだよ。文学作品ならそのテンポや香りも訳出してくれなきゃあ。ねえ店主。
かくしてサッシの修繕にもまだ踏み切れていない宇宙人は、ささやかな幸せと引き換えにわびしい財布の中身を軽くするのであった。上述のような町の本屋はまだ日本各地にひっそりと生息している模様。潰れてしまっては困るので、どの本屋でも売っているような雑誌や新刊本を買う時はなるべくこういう本屋で買ってあげて、生き延びさせてあげましょう。数がすべてな資本主義に負けるな、ニッポン!
# by hikada789 | 2015-05-27 11:18 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)
前回の余話で採り上げた内田樹氏の「頭にキック」説は、岩田健太郎という若手医師の対談集『医療につける薬』に収められています。もう一人、鷲田清一という倫理学者を交えた鼎談になっている章もありますが、三者の共通点は現代社会の慣例に対する疑問、硬直しがちな社会通念に対する鋭いツッコミという視点であり、奇しくも前回挙げた龍高星の持ち味を体現したような人たちの対話なので、算命学学習者で龍高星がよく判らない人には参考になるかと思います。

例えば医療に関してこんな対話がありました。現在の精神科の現場では薬を処方するのが通例なのですが、当の精神科医の中にこれを疑問視する人が多い。なぜなら精神科に来る患者の中には会社勤めのサラリーマンが多く、会社の人間関係によるストレスで病となった人たちなのに、彼らに薬を与えて回復させたところで、結局元の職場に戻る手助けをしているに過ぎないからです。せっかく元気になったのに、また元のストレス環境へ戻してしまう。そこで再び病気になり、再び来院して更に強い薬を処方する。その繰り返しが治療だとされているのです。むしろ、こうした患者に必要なのは転職を勧めることであり、それは医師の仕事ではなく適職診断や進路相談の領域なのだと、良識ある精神科医は気付いているというのです。
しかし現社会の通例・通念として医者は自分の患者に対し全力を挙げて治療に臨まなければならず、患者もそのつもりなので強い薬を自ら望むようになる。患者の需要に応えようと新薬開発が促進され、社会に薬が溢れかえる。医師はこれらの薬を患者に飲ませることの意味を吟味することなく機械的に処方し、世の中には薬漬けの市民が無理を重ねて適性のない職場に留まり続ける。こうした状態を「おかしいじゃないか」と思える感覚を持つことが大事なのだと、鷲田氏は語ります。医者に必要な能力が、最先端の薬を処方することではなく、そもそもの病巣がどこにあるかを突きとめる能力であるのと同様に、哲学者に必要なのは、社会における病巣がどこにあるのかを直感するセンスなのです。

算命学の認める学問の最高峰は哲学です。それは知性の最高峰ということであり、知性を司るのは龍高星と玉堂星です。実母を意味する玉堂星は、知性に優れるとはいえ堅実さや保守性からあまり離れることはできませんが、養母を意味する龍高星はおのれの立脚点すら疑う自由な発想を武器に、上述のような社会の矛盾を直感で察知する能力に長け、矛盾を解こうと既成概念に闘いを挑みます。龍高星が狂人との評価を受けやすいのは、その他の星々の多くが、転職よりも薬に頼る現代の治療方式に疑問を抱かないという種類の風潮を作っていることの表れなのかもしれません。

ともあれ、この世には矛盾が付き物です。明治以来の富国強兵策に基づき制定された学校教育では、物事を合理的に処理する訓練が中心で、あたかも解けない矛盾はないとばかりの単純な思想を子供の頃から植え付けました。結局こうして育った子供たちが大人になると、矛盾に満ちた社会環境に対応できずに病気になり、病気にならないまでもグチったり人のせいにしたりといった見苦しい風習が蔓延することになったわけです。明治以前の社会にグチや人のせいにするといった風習がなかったとは思いませんが、少なくとも現代ほど心の病を抱えた人の比率は高くなかったと想像できるのですが、皆さんは如何でしょう。
というわけで、今回の余話は矛盾についてです。算命学は陰占と陽占の二本立ての形態ですが、陰占がこうだと云っているそばから、陽占がそうではないと云っている、という事態はよくあります。陰占と陽占の主張が矛盾している場合のみならず、宿命が大運と矛盾しているとか、六親法と矛盾しているとか、守護神と忌神が同時にのぼっているとか、局法がかぶっているとか、なにしろ鑑定すべきアイテムが多いですから、それらが互いに矛盾し合うということは、実はざらにあります。こうした矛盾を、鑑定者はどう処理しているのか、或いは処理していないのか。
今回は12回に一度の玄番ですので、考察がメインになります。鑑定技法の話はあまりしませんが、代わりに鑑定依頼の実話を挙げて、鑑定する側の心構えについてやや説教じみたお話をさせて頂きます。玄番の購読料にご注意下さい。

(この続きは「ブクログのパブー」サイト [http://p.booklog.jp/] に公開しました。副題は「矛盾と向き合う」です。「算命学余話 #U84玄」で検索の上、登録&鉄火丼一杯分の料金をお願い致します。登録のみは無料です。)
# by hikada789 | 2015-05-25 19:23 | 算命学の仕組 | Comments(0)
宇宙人のスキマ情報収集術(No.694)に倣ってスカパー光11チャンネルを見ようとした友人から、わが家では別の地域放送が映って見られないとの報告があった。宇宙人のテレビは正月に新調したもので、設置設定は電気屋さんにやってもらったのだが、その時からずっと11chはスカパー光である。ネットで調べてみると、やはり映らないご家庭からどうやったら見られるのかという疑問の声が上がっているが、解決法は上がっていない。どなたかご存知?
スカパーはもともと有料放送なので、この無料の11chは宣伝用番組である。お金をかけられないらしく1日の大半を通販番組が流れ、私も生番組「ニュースザップ」を発見するまでまともに見たことはなかった。スカパーが有料放送しているBBCやCNNの視聴契約者を増やすためにニュースザップを立ち上げて、世界のメディアの生放送を同時通訳付きで見られるお得感をアピールしているものと思われる。ニュースザップのMCはバイリンガルが多く、交替で同時通訳している翻訳にケチをつけたり称賛したり、当地の番組キャスターやゲストにツッコミを入れたりと、忙しくもあけすけだ。とにかく情報量が多く、地上波の大手番組のように大した意見を持ち合わせていないゲストは呼ばないので、誰もがスタンダードでない意見を喋り倒して晴ればれと帰っていく。見ている方も気持ちがいい。

先日は徳川宗家第19代当主の徳川家広という人がゲストに来ていた。肩書は政治評論家・翻訳家なのだが、ここにゲストに呼ばれるからには凡人ではなく、現代の日本政治の拙さを家康のDNAが一刀両断。番組はYoutubeにアップされているので11chが映らない人も見れますよ(5月19日放送分)。いろいろ目からウロコな話をしてくれていたが、旧時代の為政者として(家老たる)現首相に望むことは何かという振りに、「すごく大きな座敷牢に暮らしてほしい。座敷牢だと判らないくらい広いやつ。それで閣僚は全部からくり人形なの」だって。肥満した風貌と相まって老獪だった家康公を彷彿とさせる。家康もお茶目で皮肉屋のじいさんだったのやもしれぬ。

政治家といえば最近鳩型宇宙人が、ロシア文化フェスの次の五カ年契約をロシアのナルイシキン議長と合意し調印したと報道された。五カ年計画だったんだー、お国柄ですなあ。文化フェスとは関係なさそうだが、今年8月には大掛かりなロシア関連学術会が千葉で開かれる。開催期間は一週間なのだが、1日の参加入場券が1万円と大変高額。政財界の人間をターゲットに、各国から関係者が八千人も参加するという一大イベントである。零細の宇宙人はとても参加できないが、主催者がプレイベントとして無料の市民講座を開いてくれるので、せいぜいこちらを狙ってみよう。興味のある方は既に一部終わってしまいましたが、以下の日程を参照下さい。沼野充義先生や亀山郁夫先生の参加される回もあります。東京外大と神田語学院が係わっています。

----------国際東欧・中欧研究協議会主催「ユーラシア世界を知るための市民教養講座」----------
◆場所:千葉商工会議所12階研究室A (千葉市中央区中央2-5-1 千葉中央ツインビル2号館)
◆入場無料、予約不要、当日先着順(定員96名)

【シリーズ1:今後のユーラシア動向】(いずれも18:30~20:30)
5/20(水)「ウクライナ動乱後のユーラシア:秩序回復は可能か?」
5/27(水)ユーラシア取材30年:旧ソ連の激動と日露関係を追い続けて」
6/3(水)「ウクライナ危機とロシア経済の展望」
6/10(水)「新興国カザフスタンの光と影:贈収賄の蔓延と人々の暮らし」

【シリーズ2:ロシア東欧の文化と芸術】(いずれも14:00~16:00)
6/13(土)「文学のビジョン、音楽のエクスタシー」
6/20(土)「目と耳の快楽:ロシアの美術と詩歌」
6/27(土)「バレエと映画:踊るロシア、観るロシア」
7/18(土)「ロシアの歴史と食文化」
7/25(土)「シンポジウム:スラヴ文化の広がり:ウクライナ・ポーランド・旧ユーゴ」
# by hikada789 | 2015-05-23 14:43 | ロシアの衝撃 | Comments(0)
エコセンターでワークショップをやるというので参加してみた。ヨモギでストールを染めるという。ヨモギは薬草なのだがあまりに生命力が強くてどこにでも生えるせいか世の中は雑草扱い。私も注意して見たことはなく、登山で山小屋に宿泊した時にこの季節だと天ぷらになって出てくるのをおいしく食べたくらいだ。よもぎ餅に入っているのは既に葉の形をしていないし。
ヨモギ染めの段取は以下の通り。まず雑草たる路傍のヨモギを鋏で収穫し(根を抜くと根絶してしまうので刈り取る)、虫などゴミを取り除き、茎や枯葉ごと5cmほどの長さに刻んでネット袋に詰め、大鍋に湯を沸かして緑色のエキスを煮出す。20分ほど抽出してヨモギを取り出す(よく絞ると煮汁が濃くなってよい)。ここに水洗いした絹ストールを広げながら沈めて弱火で煮る。染色家はこの染付け工程を数回繰り返すが、今回は省略して一回のみ。10分程度で染まったところで、色を定着させる媒染液を投入する。今回は漬物用のミョウバンを、布1枚40gに対し10~20%の分量でぬるま湯にダマにならないよう溶かし、煮鍋に直接注ぎ込む。正しい工程では媒染液の方へ布を入れ、布を再び鍋に戻すのだが、今回は省略。媒染液と混ざった瞬間、緑色の煮汁は明るい黄色へと変色し、色素が定着したことがわかる。全体が混ざったら火を止め、布を水洗いして日陰に干す。これで白いストールが自然な黄色に早変わり。

早いといっても収穫から干すところまで1時間半。乾いてからスチームアイロンするとシワがとれるというが、わが家にスチームはないのでごく弱いアイロンで伸ばす。なかなかいいよ、ヨモギ臭くて健康によさそう。宇宙人が黄色のストライプのペラい襟巻をしていたら自作品ですのでお笑い下さい。
今回の素材はインド製の既成絹ストールだったが、絹やウールなど動物性繊維は上述の手順で染まって便利な一方、綿など植物性繊維はこのままでは染まらないため、染める前にひと手順加える。豆乳か、大豆を煮て潰した汁に布を30分以上漬けて絞り、一度乾かすのだ。面倒なので今回は絹が選ばれた。ヨモギ以外の草木としては、煮出し中の匂いを気にしなければドクダミとか、そのへんの枝葉、落ち葉でも何らかの色が出てくるという。最近テレビでコーヒー染めというのを見たな。あれも出がらしでいけそうだ。収穫するヨモギの量は決まっておらず、薄く染めたいなら少量を煮出せばいい。今回ははっきり染まるように鍋いっぱいの葉っぱを煮出した。グループ作業で同時に8枚を染めた。ストライプ織りのせいか染めムラはなかった。

ヨモギは平地だと3月から5月の今頃が新芽の時期で、食用としても食べ頃。育つとアクが強くなるのでアク抜きの手間が面倒に。葉っぱは春菊のようなギザギザした形の濃いめの緑で、葉の裏を返すと白いのが特徴。よもぎ餅でお馴染みの匂いもある。匂いのないものや裏が白くないものは別の雑草だ。試しに近所の路上を物色してみると、あるある、あちこち適当に生えてます。食べ頃ですなあ。
緊縮財政の宇宙人はこの誰のものでもない雑草を収穫して天ぷらにでもしようと目論み、レシピを検索していたら、なんと、ヨモギによく似た雑草にヤマトリカブトがあるという。トリカブトといえば有名な毒草で、宇宙人も山で何度か烏帽子状の可憐な花を見た事があるが、花の前の新芽の時期はヨモギの新芽とよく形が似ているので注意が必要とのこと。うっかり食べたらあの世行きなのだ。生き延びるために選んだ食材に殺されてしまうのだ。皆さん、宇宙人のブログ更新が途絶えたら、間違ってトリカブトを天ぷらにしたのだと合点して、宇宙に向かって合掌下さい。
# by hikada789 | 2015-05-20 15:31 | その他 | Comments(0)
GW向けに当ブログで紹介した図書『コトの本質』を読んでくれた友人が爆笑できたとの読書報告をくれ、お役に立てて嬉しい宇宙人。まあ松井教授は極端な人ですが、この方の発言もやはり「頭にキック」効果が高い。教授の言う「2つの目」の2つ目の方が内田樹氏の言うところの「瞑想」に分類されるものなのでしょう。分野は違えど両名はきっと話が合うことでしょう。
人間の動向より惑星の成分の方が詳しい松井教授はしかし、余人には思いもよらないこんな頭にキック話も披露している。エネルギー保存の法則が支配するこの宇宙にあっては、その縮小版である地球もまたこの法則の中から逸脱することはない。地球にある水が雨や雲や海や地下水に姿を変えても総量は変わらないように、地球という限られた空間にあっては、その中の資源はどう使われようとも、原子レベルでの総量は変わらない。人間もまた原子でできているので、死ねば土に埋めようが火葬しようが最終的に分解されて地球の一部に戻る。地球は大いなるリサイクル場なのである。
ところが、近年では太陽光発電が普及し、従来は空から降り注いで地面を温めたり植物の光合成に使われたりするだけだった太陽光が、人為的にエネルギーに転換され社会に放出された。このエネルギーは本来地球上のシステムに介入していなかった新規参入者であり、この新参者を受け入れたことで従来の地球の完成されたリサイクルシステムに歪みが生じているというのだ。太陽光発電といえばクリーンで持続可能なエコエネルギーである。コスト高のためまだ一般家庭に広く普及してはいないが、化石燃料発電や原発に比べればずっと安全でクリーン、原料もいらないのでエコのエースと誰もが称賛しているものであるのに、松井教授はこうして我々の頭に思いもよらぬキックを入れてくるのであった。
教授の見方からすれば、危険の筆頭である原発や放射性物質でさえも、ウランなど元の原料は地球にあったものなので、その操作ミスで人類が毒性に侵されようがおかまいなし(教授は人間に関心がない人だしね)、地球のリサイクルシステムの範囲に収まった可愛い部品の1つに過ぎないのである。教授の目には太陽光発電がもたらす新参エネルギーの方がよほど得体のしれない余所者に映るのだ。頭にキックですねえ。このまま行くと太陽光発電はいずれ地球温暖化を加速する悪役に早変わりですなあ。キックですなあ。

土星の裏側の記事や宇宙人の運勢鑑定にも頭にキック効果があると時々言ってもらえるので、宇宙人には励みになっております。先日高校時代の級友と昔話に花を咲かせていたら経済の話になって、私が正直に「経済学が何を学ぶ学問なのか未だに判らない。イギリスの産業革命以降の短い歴史しかなく、理論だっていまだに生まれては消えていく寿命の短い中生き残っているのはマルクス理論くらいで、教える先生だって依って立つ論拠がグラグラだし、学生だって何を目指して勉強するのか全然想像できない。同級生の多くは経済学部に進学したが、彼らは何を勉強するのか判っているのだと思って感嘆していた。私には判らなかった」と吐露したところ、「その考えは四十路となった今日の我々には正論だと理解されるものだ」という反応が返って来て、お互い頭にキックとなったのであった。
それからしばらく経って、西部ゼミに呼ばれていた森田実なる高齢の評論家が、「自分は若い頃、数学ができるのなら経済をやってくれと言われてやった。当時は経済といえば数学だったが、そのため皆が数学の罠にはまってしまった。経済は理系の頭よりも、哲学とか思想といった社会理念からアプローチする頭が必要だったのに」と語り、おや若かりし日の宇宙人の感覚もまんざらではなかったな、とちょっといい気分になった。

経済学に関する見解が的を射ているものであったとしても、家庭経済の足しにはならない。宇宙人は自宅の壊れたサッシを修繕する腹を遂にくくり、修繕費を補填すべく日々の節約に益々磨きをかけるのであった。ホームセンターを廻って夏用い草シーツを購入し、扇風機を物色して目星をつけ、5アンペアまでいかなくとも15アンペア生活くらいは目指そうと、エアコンとの決別を模索する。
まずは窓なのだ。窓が決まれば風の通り道も確定して扇風機の効果も知れるというもの。窓から入った風が部屋を通って玄関へ…あ、玄関ドアの塗装のハゲがひどいな。DIYで削って好きな色に塗ろうかな。最近はさび止めの入った塗料もあるのだな。リンスインシャンプーみたいだな。ホームセンターに塗装ウンチクちらしが置いてある。なになに、サビを削る皮スキに紙やすり、ハケにベンダー、養生テープ…塗料だけじゃだめなのか。DIYは安いと思ったが何やら出費がかさむのだ。節約の道には出費がつきまとうのだ。結局トントンなのだ。地球がエネルギー保存の法則の軛から逃れられないように、宇宙人も地上の経済活動の軛から逃れられないのだ。
# by hikada789 | 2015-05-18 15:56 | 宇宙人の読書室 | Comments(0)

by 土星裏の宇宙人